本稿第1回では、「環境変化で顕在化した人財のギャップと育成方法の課題」について、企業研修を実施する中で常日頃感じている認識をお伝えし、多くの企業から共感するとの感想をいただいた。企業が直面する内的・外的な環境変化が、人財のギャップを浮き彫りにし、育成に立ちはだかる組織の制約が拡大する中で、あらためて育成方法の課題を突き付けているのである。

<顕在化した人財のギャップ>
●30代社員の価値創出力の弱みが、そのまま企業の弱みと重なる
●中途入社組とプロパー社員の意識とスキルギャップを顧客に
 指摘される
●顧客の要求に応えられない、立ち向かえない技術者・エンジニア
 が多い

<育成に立ちはだかる企業の制約>
●管理者(特に部長クラス)の過去のビジネス知識・経験が
 今の要求に適合しない
●管理者が個々の部下育成に時間をかけられない
●今の時代に必要な部課長のスキルが、実は開発されていない

 第2回の今回は、「『他流試合に行ってこい!』のわな~今、求められる研修企画の4つの目標」と題して、この顕在化した人財のギャップと立ちはだかる企業の制約の中で、効果を出す選抜研修の企画のために持つべき目標(=判断基準)を考察したい。ここでは「他流試合に行ってこい!」と、将来が期待される選抜人財を1日か2日の公開研修に参加させる企画を例に挙げ、他流試合が、持つべき目標から逸脱し育成したつもりに陥る“わな”であるとの警鐘も含まれる。

 私は、多くの顧客企業で研修の企画から実際に講師を担当する中で、受講者の“成長”を観察することが多い。よく使う“成長”という言葉、皆さんはどのような意味でお使いだろうか。

 研修に求める成長とはせいぜい意識の変化で、実務上の成果までは求めないとする方もいるだろう。あるいは、研修を通じた成長は目に見えにくく、1回の研修でうんぬんするものではないとの意見もあろう。しかし、この認識では、管理者が部下育成に割く時間が少なくなるなどの企業の制約が、まだ実感として分かっていないと言わざるを得ない。

 では成長のあるべき姿とは何か。

 私は、人財が成長したとは、実務で直面する問題の解決計画を自分で立て、人を巻き込み、上司を動かし、顧客に説明し、解決に向けて導けるように変化したこと、と捉える。つまり、発言と行動が主体的になるということだ。本来、研修が狙うのはこの点だ。

 そこから研修のあるべき姿とは、受講者の“意識”と“思考”と“行動”を変える実践的な機会であること、と定義することができる。本来、このあるべき姿を見据え、企画を練らなくてはならないのだ。