では、求められる人財スペックの変化に企業はどのように対応するのか。現実には以下の制約が立ちはだかる。

1. 管理者(特に部長クラス)の過去のビジネス知識・経験が
  今の要求に適合しない
2. 管理者が個々の部下育成に時間をかけられない
3. 今の時代に必要な部課長のスキルが、実は開発されていない

 部長世代が育成された当時とはあまりにも状況が変化した。部長が若い頃は一人で全部の仕事を任された。顧客に必死に食らいつくなかで関係を構築し、かわいがられるようになって成長した時代と“今”とは、あまりにも好対照である。

 課長はプレイングマネジャーで顧客に張り付いているため、時間の制約から育成に時間をかけられず、いつまでたっても部下に任せられない現実が立ちはだかる。プレイングマネジャーが、少ない時間をOJTに割り当てたところで対応できるものではない。そのため、企業は環境変化によって顕在化した自社人財のギャップを埋めるために、内部の制約を前提とした対応を考えなくてはいけない。それが課題である。

 その有力な解決策が個々の受講者に組織を連動させた経験学習なのである。それにより選抜リーダーを成長させ組織的によい循環をつくることを考えているのだ。それが受講者個別の支援の必要性にまで高まったということだ。

 次回は、このような変化のなかで求められる人財スペックをにらみ、企業はどのような育成研修を考えていくべきか、これからの研修を企画するうえでの基準を考えてみたい。また、よくいわれる他流試合なる研修に行けば本当に解決策の一助になるのかも考えてみたい。

辻本 光邦(つじもと・みつくに) 株式会社インサイトパワーズ 代表取締役
辻本 光邦

 2010年12月、23年におよぶ企業研修講師と組織マネジメントの経験を踏まえ株式会社インサイトパワーズを設立。以来10社を超える大企業からの全社必須研修、次世代リーダー育成の選抜研修を継続的に受託し、顧客の人財育成政策に食い込んでいる。2013年商標登録した1on1®(ワンオンワン)個別支援サービスを精力的に展開し、受講者一人ひとりに対する徹底した実務支援に本気で取り組み、顕著な実績を上げている。
 東京外大卒。富士通での海外ビジネスのプロジェクトマネジメント経て、米国コンサルティング会社 ケプナー・トリゴー社で延べ累計で1万5千人の受講者、1200回以上のマネジメント研修を実施。約400名の企業内研修講師育成の経験も持つ。同社で日本支社長、パートナー、アジア大洋州ITビジネス総責任者としてマネジメントを経験。その後、顧客企業であった日本マイクロソフトでの執行役員エンタープライズサービス本部長を経て独立。趣味はトランペット。設立34年の俊友会管弦楽団の団長をつとめる。
●インサイトパワーズ
http://www.insightpowers.co.jp

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。