市場の要求と現有人財のギャップについて、弊社顧客企業では以下を挙げるケースが多い。

<顕在化した人財のギャップ>
1. 30代社員の価値創出力の弱みが、そのまま企業の弱みと重なる
2. 中途入社組とプロパー社員の意識とスキルギャップを顧客に指摘される
3. 顧客の要求に応えられない、立ち向かえない技術者・エンジニア

 このようなギャップを感じている読者は多いのではなかろうか。顧客のニーズが高度化、多様化し、ビジネスがグローバル化したことによって、いち早く、新たな価値を創造できる人財の確保はどの企業でも急務だ。では、それぞれについて少し突っ込んで見てみよう。

1. 新たな価値を創出するよう育成されてこなかった30代社員

 問題発見力強化、仮説設定力と検証力強化、戦略的思考力の強化が、弊社が30代管理職やリーダーに提供している研修のTop3である。2014年にNHKの「クローズアップ現代」でも報道され話題になったが、1990年代前半のバブル崩壊後の失われた10年に新入社員時代を過ごした30代が今や管理職となり、新たな価値を創出する人財へと、この世代を育成してこなかったつけが“今”表面化している。
※NHK クローズアップ現代「シリーズ 成長への人材戦略」

 この世代は、①与えられた目標をどうすれば達成できるかのアイデアは出す、②発生した問題を解決することに力を発揮する、③与えられたチームの中で仕事をこなすことに長けている。いずれも“与えられた”環境下で要領よく仕事をする人財なのである。

 その代わり、問題の予兆を捉え先手を打つ発想が苦手で、「世の中にない新たな価値を生み出せ!」や、「何もないところから新たに人を巻き込みチームをつくり動かせ!」と言われて、はたと困ってしまうのが弱点だ。要は自分から率先して動かない/動けないのである。なかなか自力では脱却できない。そのため、企業は問題発見や戦略思考など、今起きていることへの対応ではなく、解決する問題をつくるための研修を真っ先に考えるのだ。

 30代社員は低迷した経済が支配した時代に入社し、企業目標も人員削減、コスト削減など、削減と効率を追求していたなかで新入社員時代を過ごした。つまり、ビジネスが当時の時代背景や経済環境に支配され、人財育成そのものの優先順位が低かったのである。そのなかで要領よくこなす術が育まれた。もともとバブル崩壊後の厳しい環境のなかを採用された優秀な人財であるが……。そして現実にその弱みが企業の競争力に影響を与えている。

 この状況が、後述する内部の制約と合わせて私たち研修機関に与件として示され、まさに私たちは研修を通じた育成を、なかば代行し支援することが期待されるのだ。