②上方影響力
 心理学者、D.ペルツは、「リーダーが上司に対して有する発言力の大きさ、ないし、上司との関係における自律的程度」のことを上方影響力と呼びました。

 これによって「部下の味方となる」「部下と親密である」といった部下との人間関係に配慮するリーダー行動は、そのリーダーに上方影響力がある場合はプラスに働きますが、上方影響力のない場合は、むしろマイナスに働くことがわかりました(図3)。つまり、私利私欲のためにヒラメのように上ばかり見て上司に取り入るのではなく、職場全体の効率・利益を上げるといういわば「志の高いゴマスリ」は部下掌握に効果的だということです。

 訓練方法としては、①信頼蓄積理論と同様です。

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図3 信頼蓄積理論

ポイント3:多様性のやりくり(ダイバーシティ・マネジメント訓練)

 生産年齢人口減少時代におけるマネジャーに高い成果が期待できるのは、多様性のやりくり(ダイバーシティ・マネジメント)によって、同質的メンバーでは生み出せない創造性のある成果を産み出すことです。

 ダイバーシティ・マネジメントの真の目的・意義を以下に示します。

①独創ある成果を産み出す
 ダイバーシティ・マネジメント(Diversity Management)とは、組織間、メンバー間の考え方の差異を認め合い、異質な考えを融合させながら、新しい価値観を創出していくことで、独創的な成果を上げてこうとするマネジメントです。男女(ジェンダー)の違い、国籍や宗教の違い、育ってきた環境の違い、年齢の違いといった面を平等にすることが目的ではなく、各メンバーの「考え方」「捉え方」の違いを乗り越え、独創的な成果を上げることが目的です。

 例えば、森の中の生態系が様々な種で構成され、突然の環境変化にも対応できるように、一つの考え方、ものの見方にとらわれず、しなやかに環境変化に適応していくことができるように、開発部門において、研究畑出身の人の思考だけではなく、営業、生活者の目線の考えも踏まえて新しい商品開発を行うことで、ヒット商品につなげていくことができます。

② 生産性を維持する
 既知の通り生産年齢人口がピークを切り、減少傾向になります。その中で、例えば20代から50代までの新卒採用の男性正社員に頼っている企業であれば、一定の生産性を維持するためには、高齢者、家庭の主婦などを雇用したり、関連する協力企業を請負先として、ネットワークを組んだりすることも必要です。雇用形態も正社員中心ではなく、パートタイマー、契約社員、派遣社員などの様々な形態を活用するためにもダイバーシティの考え方が必要です。