ポイント1:知識臨界点を上げる《戦略的思考と組織的思考訓練》

 マネジャーには、組織のあるべき方向性を理解し、具現化する「戦略的思考」と戦略を組織に伝え、動かしていく「組織的思考」の2つが必要です(図1)。

 これらの能力は、短期間で身につく能力ではありませんが、常に現場で仮説/検証できるよう、知識臨界点を上げる支援が欠かせません。

図1 マネジャーに求められる戦略思考と組織的思考

・戦略的思考と組織的思考とは

①戦略的思考
 周囲の情報を主体的に感受し、課題を重点化し、周囲を相互協力できる体制にする思考を戦略的思考といいます。通常は、トップから迅速に決定され、頻繁に修正されるとともに、その実行を即座に求められます。

②組織的思考
 組織的思考とは、個ではなく、組織的な分業、仕事の標準化、情報共有、人材育成等などを運営する能力です。戦略の実行に比べて、動き出すまでには時間がかかります。

 これら2つの思考は、生産年齢人口増加時代には、直接経験、間接経験、OFF-JTなどによって身につける余裕がありました。しかし、失われた20年の間、1プレーヤーとして専門特化し、特定業務に従事してきた人材は、仕事上で身につける機会に恵まれませんでした。

 よって、彼らに対し、早急に知識臨界点を上げる教育訓練・能力開発が必要と考えます。戦略思考は、MBA的テンプレート学習でカバーできますが、組織的思考は、法的規制、社内規程、業界ルールなどの知識に加え、組織行動論を基盤とした知識・理論学習が肝要です。特に、再雇用者や多様なメンバーへの指揮、配慮を考えるとモチベーション、リーダーシップ、葛藤処理、集団力学、コーチング等の知識・理論武装は必須要件と考えます。

 訓練方法としては、現場での仮説/実践/検証が一番ですが、まずは、書を読み、理を斟酌し、専門機関のセミナーや個別指導を仰ぐことを推奨します。