3)マネジャーの現状把握:三脚の原理を軸に

 ドラッカーの原理・原則、「マネジャーとは、1+1≧2の活動主体で、今と未来を結びつけるヒト」を深堀し、より現場・職場に則した視点からマネジャーを考察すると、マネジャーは職場の目標を達成するために、その受け皿となる職場システムを効果的に作る必要性があります。組織や職場のメンバーのエネルギーが結集されているほど、戦略発想を効果的に展開できることが先達の研究成果などでも確認されています。

 経済成長体験が希薄だった世代が今後、マネジメント活動の最前線でヒト、モノ、カネ、情報等をやりくりしていく上で、身につけなければならない重要な要素となります。

 産業能率大学では自職場の現状を具体的に把握するためにフレームワーク「三脚の原理」(図4)を提示しています。経営環境、経営資源がどのように変化してもマネジメントを実行する上では、普遍的な要素と考えます。

 職場の働きを構造的に把握する視点が「三脚の原理」です。
「三脚の原理」内固めの構成要素
①人間
・マネジャーを含む全メンバーの業務・対人・問題解決能力
②仕事
・目標・方針および仕事そのものの内容
③運営のしくみ
・仕事の分担の仕方や流れ(情報を含む)、ルールや約束ごとの運用の仕方
④風土
・職場の雰囲気や集団規範(思考・行動・コミュニケーションほか)

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図4 三脚の原理

 この「三脚の原理」内固めと環境・使命の関係は、マネジャーが今と未来を結びつけるファインダー(使命)を通じ、多様な環境変数から外攻め課題を重点化し、三脚の原理に基づき、内固めをしていく構図です。

 これらのフレームワークは、経済が成長し、生産年齢人口が増加していた時代には、直属の上司の行動や他部門マネジャーの伝説などで若手・中堅人材でも直接、間接的な経験、体感ができていましたが、失われた20年の間、マネジャーもメンバーも仕事が細分化され、専門特化してきたため、全体が見えなくなっていました。

 つまり、日本企業が得意としていた阿吽の呼吸(暗黙的知識を形式知化するノウハウ)で業務を遂行し、集団の凝集性を高め、ミドルアップダウン方式によるマネジメントスタイルを維持できる人材の蓄積が枯渇してしまい、今後はさらに雲散霧消することが見えてきてしまいました。