「生産性の向上」は、あらゆる企業が時代を問わず目指していることです。働いている人であれば一度は耳にしたことがある、ビジネス界において非常にポピュラーでなじみのある言葉といえますが、私たちは今、かつてないほど真剣に「生産性の向上」に向き合い、その実現に向けて取り組まなければならない状況に追い込まれています。

 その背景の一つは、少子高齢化が進み、慢性的に若年層の労働力が不足していること。そしてもう一つは、本格化する「働き方改革」推進の取り組みの一環として、残業を減らす必要が生じてきたことです。つまり、これまでより少ない人数、少ない時間で、今まで以上の成果を求められる時代になっているのです。

 それを実現するためのキーワードが「生産性の向上」です。そこで、本コラムでは、今の時代ならではの、生産性を向上させるための方法についてお話ししたいと思います。

 「生産性の向上」を図るためには、システム化や業務の棚卸しなど、いくつもの切り口がありますが、より高い生産性を生む組織にするための根本的な一手は、求めるポジションに適した候補者を採用し、配置することだと思います。

 Harvard Business Reviewで「その人が優れた成果を達成できるかどうかは、職務にフィットしているかどうかにかかっている」という内容の記事を目にしたことがありますが、まさにその通りだと思います。多くの時間と費用をかけて「即戦力」と期待して採用したはずの人材が、会社の思い描いていた期待値とずれていた、入社者側が抱いていたイメージと実際の会社の雰囲気や仕事内容がずれていた……という、いわゆる「ミスマッチ」は頻繁に起こりうる問題です。

 ミスマッチによって、本来であれば起こるはずのなかった機能不全や、必要のないあつれきを生じさせて組織を疲弊させたり、一から採用活動のやり直しを迫られたりする場合も少なくありません。会社と社員、そのポジションとのミスマッチによる影響が、「生産性の向上」の足を引っ張ってしまうわけです。

 「生産性の向上」を企図する私たちが、採用の段階でこのミスマッチを防ぐために、面談をする前に整えておくべき3つのポイントがあります。

1. 会社の風土や文化、ビジョンやミッションを明確
 (文章もしくは口頭で説明できる状態)にしておくこと。
2. ビジネスモデルやナレッジを伝承しやすい状態にしておくこと。
3. 求めるポジションのハイパフォーマーの適性を明らかに
 しておくこと。

 1.と2.は候補者が持つ、会社に対するイメージと実際のギャップを最小限にするために必要な準備です。企業文化を事前に正しく理解し、ビジョンやミッションに共感できていれば、組織に早くなじむことができますし、ビジネスモデルやナレッジがすぐに理解できる環境があれば、より即戦力として力を発揮することができるからです。

 そして、最も重要なポイントとなるのが3.です。

 営業のハイパフォーマーの適性には「粘り強い」「負けず嫌い」「学習能力が高い」「共感力がある」「物事の本質を聞き取る傾聴力がある」「口頭表現力がある」などが挙げられますし、事務職のハイパフォーマーとしての適性には「生真面目さ」「慎重」「分析力がある」「他の意見を聞く柔軟性があるが、本質はぶれない」などがあるでしょう。もちろん、その企業の文化や事業、サービス特有の適性項目もあると思いますが、私はこれらを【ソフトスキル】と呼んでいます。

 反対に位置付けられる【ハードスキル】は、出身大学や所有資格など、一般的に就職活動をする際に、企業側に提出される履歴書や職務経歴書に記載されるような事項を指します。

 履歴書や職務経歴書に記載されるのは、基本事項プラス候補者側が最も見てほしい面=一番よい面ということになりますが、そこから求める【ソフトスキル】を持ち合わせているかどうかを判断するのは難しい作業です。正確な判断をするためには、そのポジションにどういう【ソフトスキル】を求めるのかを定義し、【ハードスキル】を糸口として、そのスキルがあるかを判断できる質問を事前に用意しておく必要があります。