前年まで私が注意していた程度では多少ナメてかかっていたチーフたちも、統括マネージャーから証拠を突き出されて毎日毎日指摘されるとなると、今までのように無視しているわけにもいかない。

生産ラインやクーラーで不良を見つけて写真を撮ろうとすると、「すぐに直すから写真は撮らないでくれ」「今後気をつけるから報告はしないでくれ」と言ってくるチーフもいた。

一方で、自分たちで、不良を見つけて私に報告してくれるワーカーたちもいた。
これまでは、不良を見つけても報告義務があったわけでもなく、どう対処すればいいかもわからないので、余計なことにはクビを突っ込まない方がいいだろうと、ワーカーたちも見て見ぬふりをして、そのまま放置していたケースもあった。

なかなか「不良ゼロ」とはならなかったが、それでも封印テープなしや、テープの剥がれ、積み間違えなど、1日にどうしても1件は出そうな不良やミスが、全く見つからなかった日は、私も嬉しかったし、ワーカーたちに「昨日は、テープなしの不良はゼロだったよ!やったね!」とフィードバックをすれば、ワーカーたちもハイタッチをして喜んだ。

自分たちの仕事っぷりを、きちんと見てもらえていると実感できるのは、仕事の質やモチベーションをキープする上で、絶対に必要なことだ。

ところが。
順調に不良やミスの件数が減ってきていたところで、なぜかある時期から急に、カートン箱の封印テープが剥がれるという不良が多く見つかるようになった。

井ノ上 美和(いのうえ・みわ) BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会) ナビゲーター、ジョーシス 顧問
井ノ上 美和

メキシコ、スペイン在住歴6年のラテン系。
通信ベンチャー、医療用具メーカーなどの国際ビジネス業界で、オペレーション・営業のマネジメント、採用・社員教育、ISO/FDAの品質監査、広報、システム構築など、様々な業務に携わった経験を活かし、海外および国内企業で業務・組織改善、人財育成などのコンサルティングや研修を行う。
学習院大学、HAL東京などの教育機関や大手IT系企業を中心に、人生観や生き方をテーマにした講演会も展開。
スペイン語の通訳翻訳業では、ビジネス通訳のほか、フジテレビ「奇跡体験!アンビリバボー」などメディア出演も。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。