井ノ上 美和
BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会) ナビゲーター、株式会社F&S Creations 顧問

2年目のチェリー工場。
今度は本格的に業務改革をして欲しいと依頼を受けたものの、行ってみたら、アメリカンチェリーは100年に一度の大凶作で工場の活気はイマイチ。
依頼主の西海岸カーゴ社(仮名)の社長もロスに滞在したままでチェリー工場には顔を出さなかったし、今回の契約にあたって要求していた3つの条件(権限、レクチャー、トランシーバー)も、何ひとつとして用意されていなかった。
1年目に続き、2年目も「こんなはずじゃ…」と思うような想定外からのスタート。

でも、“想定外”なんて海外ではよくあること。
西海岸カーゴ社が何も準備していなかったからと言って、何もしないわけにはいかない。
条件が揃っていないのだから、私が何もしなくても契約上は問題ないのだろうが、私自身が自分の時間やこの機会を無駄にしたくなかった。
せっかくの1カ月半、私なりに私ができることをしよう、そう考え直した。

チェリー工場は、全体的に業務の効率化や品質改善への問題意識が低く、具体的な取り組みもされていなかった。特に梱包や出荷業務に関しては、西海岸カーゴ社に委託していたこともあって、ほぼ無関心だった。

それでもマネージャークラス唯一の女性だった生産ラインの統括マネージャーは、業務や品質改善の重要性に気づいていた。ただ、彼女はあまりに多くの仕事を抱えていて、業務改善にまで手がまわっていなかった。
私は彼女に直接掛け合うことにした。

ロゴ入りTシャツで、“チーム”の仲間入り

統括マネージャーが理解のある人だということは、前年の経験からわかっていた。
2013年、私が業務改善をしようとパレッタイズのセクションで男性ワーカーに混じってパレット積みの作業を始めてすぐの頃、彼女のオフィスに呼び出されたことがあった。
もしかして「余計なことをするな」と怒られるのではないかと内心ドキドキで彼女を訪ねると、怒るどころか彼女は

「Miwaは、私たちのチームだから」

と、チェリー工場の会社のロゴの入ったTシャツやパーカー、帽子など一式をプレゼントしてくれた。

統括マネージャー(中央)と