その言葉を待ってましたっ!

実は、まだこの頃は、チーフは品質や業務改善にはそれほど前向きではなかった。それこそ「余計な仕事を増やさないでくれ」という気持ちがところどころ態度に出ていた。
「“自分の権威が失われる”のはもちろんだが、みんなの前で指導されてしまったら、本当にやらないといけなくなる。そんな面倒なことになってもらっては困る」。
おそらくそれがチーフの本音だった。

だからチーフは
「大丈夫、Miwaを言い訳になんかしなくても、オレからみんなに言ってやらせるから」

と返してきた。私は

「じゃぁ、任せるからね。頼んだよ。何か助けが必要だったら言ってね。」

と笑顔で返した。
笑顔の中に、心の中の“にやり”が出ないように気をつけながら。

ここまで言ってもらえたらこっちのものだ。

私が欲しかったのは、チーフ自らの「自分が責任をもってチームを動かします」という言葉。

例えそれが彼にとっては、その場しのぎの“建前”だったとしても、私からすれば、「あなたが、自分でやるって言ったんだよね?」と、あとから彼にプレッシャーをかけることができる言葉なのだ。

できれば、本人が本当にやる気になるまで待ちたい気持ちもある。
けれど、約1カ月半である程度の成果をあげなければいけない状況下では、時に半強制的に行動を仕掛ける必要もある。

大事なのは、あくまで本人たちが“自発的”に動いているという印象。
自分の意志でその道を選んだ、決めたという設定にすること。

「私の指示通りにやりなさい!」では、抵抗や摩擦が起きるばかり。 だから、「あなたの言うとおりに、私はあなたに仕事を任せましたよ。お願いしますね、頼りにしてますよ〜」という、一見優しそうな、でも逃げ場のない流れでもっていく。

チーフやマネージャーの権威は大切だ。守ってあげなければいけない。
男のメンツも潰してはいけない。
男たるもの、頼られていると思えば、結構張り切るものなのだ。

フォークリフトのメンバーのランチタイム
井ノ上 美和(いのうえ・みわ) BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会) ナビゲーター、ジョーシス 顧問
井ノ上 美和

メキシコ、スペイン在住歴6年のラテン系。
通信ベンチャー、医療用具メーカーなどの国際ビジネス業界で、オペレーション・営業のマネジメント、採用・社員教育、ISO/FDAの品質監査、広報、システム構築など、様々な業務に携わった経験を活かし、海外および国内企業で業務・組織改善、人財育成などのコンサルティングや研修を行う。
学習院大学、HAL東京などの教育機関や大手IT系企業を中心に、人生観や生き方をテーマにした講演会も展開。
スペイン語の通訳翻訳業では、ビジネス通訳のほか、フジテレビ「奇跡体験!アンビリバボー」などメディア出演も。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。