井ノ上 美和
BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会) ナビゲーター、株式会社F&S Creations 顧問

性別や国籍にも配慮しなければならない中で、アメリカ人男性のマネージャーが“ラテン系”の“通訳”の“おネェちゃん”である私に、部下の“メキシコ人ワーカーの前”で指摘を受けているシーンというのは、あまり好ましくない。アメリカ人男性のマネージャーからしてみたら、面目丸潰れだ。

実は、部下の前で“通訳”の“おネェちゃん”に注意を受けたり、指図されるのを嫌がったのは、品質管理のアメリカ人マネージャーだけではなかった。

私がパレッタイズの業務改善に着手して間もない頃。
私はパレッタイズのメキシコ人チーフに、封印テープやインクジェットのコンディションのことであれこれ注意をした。
すると、メキシコ人チーフは、私の話を途中で遮り「まぁまぁ」と私の肩を叩きながら、工場の片隅に連れ出して、こう言った。

「Miwaの言うことはもっともだと思うけれど、部下の前でオレに注意するのはやめてほしい。
チーフとしての権威が失われる。
権威がなくなれば、部下は私の言うことを聞かなくなる」

そこそこの“利益”が効率や品質改善の邪魔になる

よく、「部下を叱ったり、注意をするときは、人前ではなく、こっそりと人目につかないところでやること」と言われたりするが、私があえて、他のワーカーたちの前で、マネージャーやチーフに注意をしたのは、私なりの意図があった。

パッキングやパレッタイズのセクションに限らず、そもそもこのチェリー工場は全体的に業務の効率や品質改善に対する意識が薄かった。

“どうせ単純労働だから…”、“どうせメキシコ人ワーカーだから…”という先入観もあるが、それに加えて、そこそこ利益があったのが問題だった。
アメリカンチェリーのシーズンは1年の中で、たった1カ月半〜2カ月間。けれどその短期間に、工場の年間収益のかなりの部分をチェリーで稼いでいた。

空中通路から選別エリアを見下ろすマネージャーたち