そんな外国企業も、みんな表向きは優しい。
通常のメールや電話のやりとりは普通に返してくれるし、会えば笑顔で出迎えてくれ、仲良くお喋りもする。出張時には荷物を持ってくれたり、車のドアを開けてくれたり、コートを着せてくれたり、好みの食事を用意してくれたり。礼儀正しく、エスコートもバッチリだ。お誕生日にメッセージカードやプレゼントを用意してくれたりもする。
海外の展示会などで、ユーザーや取引先と会った時には、「セールスマネージャーのMiwaだよ。彼女は本当に素晴らしい」などと褒め言葉をつけてきちんと紹介もしてくれる。

けれど、本当に最後の価格や条件の交渉や契約は、“女”とはしない。

ホテルから空港に向かう際、うちの社長と私を別々の車に乗せて、その車中で社長と契約を決めてしまうとか、私から送ったメールでも、重要事項であれば返事は社長のところに届くとか、そんなことはよくあった。

そういった女性に対する“差別”は、私に対してだけではなく、相手側の外国企業の社内でも同じだった。
中東やアジア諸国はもちろん、差別やハラスメントに敏感なアメリカやヨーロッパでさえも。
女性社員は重要なミーティングには同席させてもらえないとか、一定の肩書き以上のポジションにはつけないとか、そんな話はいくらでもあった。

「そもそも女性にビジネスができるわけがない」と、秘書も含めて側近は全て男性だけで固めている男性社長もいた。

ある社長は「どうせ雇うなら美人。なんでブスに金を払って側に置いておかなきゃいけないんだ」などと、セクハラで訴えられそうなことを公言していた(ちなみに、その社長の秘書はかなりの美人でモデル並みのスタイル、かつ有能だったし、秘書自身もその容姿を“ウリ”にしていた)。

いずれにせよ、ビジネスの大事なところには、女には絶対口を挟ませない、というスタンスがはっきり見えた。

そういう考え方や対応に、いちいち

「女だからって馬鹿にしないでくださいっ!!」

なんてガミガミしたところで余計なストレスが溜まるだけだ。