きちんと話せば、お互いの事情もわかり合えた。
最後はハグをして仲直りし、結果的に私は品質管理マネージャーとも急速に距離を縮めることができた。

最初はとっつきにくい感じのマネージャーだったが、この事件以降、見かければ遠くからでも手を降ってくれたり、声をかけて笑顔で挨拶をしてくれるようになった。
無愛想な人だと思っていたけれど、笑えば結構かわいいお兄さんだった。

女性とはビジネスをしない男たち

実は、品質管理マネージャーがあんなに顔を真っ赤にして怒ったのには、理由があった。
単に管轄外の人間に口出しされたから、だけではない。
もし、指摘をしたのが私ではなく、西海岸カーゴ社の社長だったなら、あそこまで一気に沸騰することはなかっただろう。

問題は、“ラテン系”の“通訳”の“おネェちゃん”に、アメリカ人男性のマネージャーが、部下の“メキシコ人ワーカーの前”で指摘を受けた、という場面設定にあった。

アメリカ人社会にメキシコ人あるいはヒスパニック系の人を低く見る傾向があることは以前お話した。
マネージャーが、通訳ごとき立場の人に注意されるのが気に入らないのもわかる。
そこに加えて“おネェちゃん”だ。

中には目くじらを立てて、男女平等を叫ぶ人もいるが、私は“男女不平等”が自然だと思っている。身体のつくりからして違うのだから、平等なわけがない。
男女が同じでは、全く面白くない。2種類いる意味がない。

ラテンアメリカには、“マチスモ(男性優位主義)”の文化がある。
たまたま“マチスモ”と定義する言葉があるから、ラテンアメリカでは男性優位の文化が特に強いのかと思われがちだが、ヨーロッパでも、中東でも、アジアでも、それこそ日本にだって、男性優位の文化や意識はある。

以前、私は某医療用具メーカーで営業部長をしていたことがある。
製品のほとんどは海外市場向けで、顧客もヨーロッパ、北米、中南米、中東、アジアと、世界中にいた。

私が決裁権のある部長職にあるにも関わらず、「女性とはビジネスをしない!」と、最終的な契約や価格交渉は全てうちの社長(男性)としかやりとりをしなかった外国企業はいくらでもある。