一旦、西海岸カーゴ社の事務所に戻り、私は社長にも謝った。

「ご迷惑をおかけしてすみません。焦り過ぎました」

チェリーの期間は約1カ月半〜2カ月間。
私が業務改善に着手してからすでに3週間が経っていた。残り時間は少ない。
ゆるりゆるりと上手く入り込まなければ…と思っていたのに、つい気が急いた。

「気にしなくていいよ。焦る必要もない。ここまででもすごくよくなっているよ。でも今回のことはMiwaちゃんらしくないな。いつものMiwaちゃんの“武器”を使わないと〜」

と、社長は笑顔で励ましてくれた。

そのまま社長と一緒に、街に差し入れのドーナッツを買いに行った。
チェリー工場内では、差し入れが“潤滑油”としてよく使われていた。
何かあると、お互いに差し入れを届けて、感謝やお詫びの気持ちを伝える。私たちのところにもよくシェイクやピザなど、差し入れが届いた。

“差し入れ”のシェイク。ボリュームがすごい

1ダース入りのドーナッツを2箱買って、改めて品質管理マネージャーのところに謝罪に行った。

「さっきはごめんなさい。あなたの言う通り、直接ワーカーに改善策を聞いたのはいけなかった。
でも、それも工場のことを思うからこそ。一緒にいいブランドを作りあげていきたいと思ってるの。
あなたひとりで、こんな広い工場全体の品質を見ているなんて大変だっていうのもわかる。私もお手伝いするから」

もしかしたら、無視されたり、さらに怒られるかもしれないという覚悟で行ったが、品質管理マネージャーは、笑顔でドーナッツを受け取ってくれた。

「僕も悪かった。でも工場や顧客が気にするのは、まずサイズや見た目、チェリーそのものの品質なんだ。梱包のことなんて今までそんなに言われたことなかったし。
それをいきなりズバっと言われたから、ビックリしたし、カチンときたし…。でも確かに梱包も今のままでいいとは思ってない」

確かに、今まで梱包の品質について指摘してきた人なんていなかっただろう。だからこそ西海岸カーゴ社のスタッフは、毎年憂鬱になりながらも梱包不良の修正を続けてきたのだ。