井ノ上 美和
BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会) ナビゲーター、株式会社F&S Creations 顧問

チェリーのカートン箱には、チェリーの品種、サイズ、ロット番号、向け地などがインクジェットで表記されている。
パッケージング(箱詰め)の際、カートン箱にバーコードラベルを貼り、インクジェット機がそのバーコードを読み取って、製品ごとの情報をカートン箱に印字する。

インクジェット係は、インクジェットの機械にこれらの情報をプログラムしたり、オーダーの数量や生産数に合わせてロット番号の切り替えをしたりする。
その他に、インカムをつけて無線で生産量やラインの様子をアメリカ人のマネージャークラスに報告するという業務もあるので、他のワーカーと同じメキシコ人でも、英語が流暢でシステムの操作ができる、若手の準チーフクラスのワーカーが男女ペアで担当していた。

ラインに並んで単純作業をしている他のメキシコ人ワーカーより、一段高いポジションにいるという自負からか、インクジェット係のワーカーは、他のラインワーカーよりややとっつきにくい雰囲気を持っていた。

インクジェット印字のミス

ある日、カートン箱の中身とは異なるチェリーの品種名が箱に印字されるというミスが発生した。

アメリカンチェリーには、ビング、ブルックス、チュラーレ、シュラン、ガーネット、レーニアなど様々な品種があり、シーズンの中でも収穫の時期が微妙に異なる。
ところがその日、もうシーズンが終わって入荷がないはずの品種名が印字されたカートン箱がベルトコンベアを流れてきた。

幸い、印字ミスがあったのは、1種類の製品だけだったが、気がついたのはパレッタイズのセクションにその製品が流れてきてしばらくしてからだったので、すでに間違った印字のカートン箱がパレットに数十箱積まれていた。

箱詰めをしてカートン箱を閉じ、印字をしてしまったら、中身のチェリーと印字の品種が合っているのかどうかは簡単には分からない。そのまま気づかずに出荷されてしまうリスクもある。
はるばる空港までトラックで運び、飛行機に載せて、客先に届いてから、実は中身が違いました、ではすまされない。

私は、急いでインクジェットのセクションに走り、インクジェット係の女子ワーカーに印字ミスの件を伝えた。
彼女は、ずっとインクジェット機の隣についていたにも関わらず、私が伝えに行くまで、ミスに気がついていなかった。

ひとくちにアメリカンチェリーと言っても、品種がいろいろとある