封印テープはおもに輸出向けの製品に必要で、出荷先の国の規定別に2種類のテープがあった。同じ国向けの製品しか流れていない時はいいが、異なる場合は、カートン箱に貼ってあるバーコードの番号を確認しながら該当するテープをかける。
流れている製品に合わせて、それぞれの生産ラインに1人か、2人のテープ係が配置されていた。

耳が不自由な少年との“会話”

テープ係をしていたある少年は、聴覚に障がいがあって、会話をすることもできなかった。

最初、私はそのことに気がつかず、パレッタイズや他のテープ係のワーカーにやってきたのと同じように、テープ貼りの作業を手伝いながら、封印テープの重要性について話をした。

封印テープの貼り漏れがあったり、間違ったテープを貼ってしまうとどうなるのか、テープが短いとはがれやすくなり、はがれていると開封扱いになって通関で処分されるなど、ひと通り話をして、だからテープ貼りの作業というのは単純そうに見えて実は重要な仕事なのだと説明した。

すると、ある日、近くにいた別のワーカーが

「彼は、耳が聞こえないし、口もきけないんだよ」

と教えてくれた。

それを聞いて思わずはっとしたが、そんな私の表情を見て、テープ係の少年は笑顔で「大丈夫!」のサインを出してくれた。
耳が聞こえなくても、私たちのやりとりはわかっていたようだった。

そもそも、ラテン系は会話をする時に身振り手振りが多いし、動きも大きい。
私もメキシコでの生活が長かったせいか、すぐに思ったことが表情に出るし、話をする時の身振り手振りも大きい。

テープ係の少年に説明している間も、無意識に「ここまでだよ」と位置を指差したり、実物を見せながら「これは良い例でこれは悪い例ね」と、ジェスチャーでOKマークやバツ印を出しながら話をしていたから、聴覚が不自由でもだいたいは理解してくれていたようだ。

テープ貼りの少年