なぜ、終了予定時刻をワーカーに伝えないのか、ラインの統括マネージャー(マネージャークラスで唯一の女性)に聞いたことがあった。

「例え“予定”であっても、ワーカーに何かしらの時刻を伝えてしまったら、その通りにならなかった時にワーカーからクレームが出るから言わないの。

“予定”時刻より作業が長くなれば、もう時間を過ぎているから、早く帰りたいと言い出すし、“予定”より早く終わってしまうと、思っていたより稼ぎが少なくなったと言い始める。

それに、時間を伝えようが伝えまいが、作業をする時間に変わりはないから、伝えても意味がないでしょ」

それが統括マネージャーからのこたえだった。

確かにその通り。伝えたところでそれほど作業時間が変わることはないし、“いちゃもん”をつけてくるワーカーもいるだろう。

でも、たいていのワーカーは、文句を言うために、時間を知りたいと言っているのではない。

ワーカーの中には子供がいる主婦も多い。帰りが遅くなるとわかっていれば、パートナーや親に子守りや家事を頼んだりすることもできる。
“予定”通りに行かず、変更があることくらい承知の上だ。それでも夜18〜19時頃には終わりそうなのか、夜中までの仕事になりそうなのか、それくらいは知っておきたい。ただそれだけだ。

全体のストーリーが見える大切さ

単純作業とはいえ、作業終了“予定”時刻と同様、ワーカーにもある程度の情報が必要だ。

「日本や韓国、中国にはアメリカンチェリーがないから高級品なんだよ。
 日本にもチェリーはあるけど、別の品種で色がもっと薄いの。
 私はアメリカンチェリーの方が好きだなぁ」

「今度ね、日本の大手のスーパーと取引が始まったんだよ。
 きっとここのチェリーの品質がいいからだね。日本は本当に品質に厳しいの。
 最初が肝心だから、ミスや不良を出さないようにいつもより気をつけようね」

そういう話をすると、ワーカーたちは「へぇ〜そうなんだぁ〜」と嬉しそうに聞く。
それまでは、自分たちの目の前の業務に直接関係のない情報は、ほとんど伝えられていなかった。

背景や全体像がわかれば、自分の仕事が何につながっているかが見えて、役割も明確になる。自分の仕事ももっと楽しくなる。
自分の仕事が何につながっているかを、知っているのと知らないとでは、大違いだ。

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