意味と効果がわかれば、自発的に動き出せる

私は毎日何度もパレッタイズに行っては、抜き打ちでパレットの山をチェックした。
私が現場に現れると、ワーカーたちは慌てて自分のパレットの再チェックを始める。

人間のやることだから、不良品の見逃しや積み間違いは出てくる。
カートン箱の積み間違いは、封印テープやインクジェットの不良と違って、完全にパレッタイズのワーカーのミスだ。一切言い訳ができなかったから、指摘されると「やっちゃった〜」という顔をしながら、みんな素直に直した。

もちろん、不良もミスもなく積んであれば

「Muy bien (very good)!その調子〜、任せたわよっ!」

と、大きな声で、とびきりの笑顔で褒めた。

そのうち、私がチェックにまわると

「完璧だよ!見てくれ!」

と楽しそうに胸を張ってパレットを見せてくれるようになった。
それでも私が何かミスを発見した時は、周りのワーカーがにぎやかにブーイングを出し、本人も照れくさそうにする。

そこには、最初の頃にあった、「なんで自分たちのミスじゃないことで注意されるんだ!」という、ふてくされた態度や表情はもうなかった。

さらに、しばらくすると、“先頭係”や声出しだけでなく、パレットの山のチェックも、自分たちで率先してやるようになった。
私がいつもする指差し確認のしぐさまでマネして。

「私がいない時には、誰かが私の代わりをやりなさい」なんて指示を出さなくても、やっていることの意味を理解し、効果を実感すれば、自分たちで自発的に動き出す。

誰も意図的に質の悪い仕事をしようなんて思っていない。
同じように時間と体力をかけてする仕事なら、チームでいい仕事をしたいと思っているのだ。

それを理解して、自発的に行動できるくらい、メキシコ人のワーカーたちは“優秀”だった。

褒められた!イエーーーーイ!
井ノ上 美和(いのうえ・みわ) BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会) ナビゲーター、ジョーシス 顧問
井ノ上 美和

メキシコ、スペイン在住歴6年のラテン系。
通信ベンチャー、医療用具メーカーなどの国際ビジネス業界で、オペレーション・営業のマネジメント、採用・社員教育、ISO/FDAの品質監査、広報、システム構築など、様々な業務に携わった経験を活かし、海外および国内企業で業務・組織改善、人財育成などのコンサルティングや研修を行う。
学習院大学、HAL東京などの教育機関や大手IT系企業を中心に、人生観や生き方をテーマにした講演会も展開。
スペイン語の通訳翻訳業では、ビジネス通訳のほか、フジテレビ「奇跡体験!アンビリバボー」などメディア出演も。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。