問いかけることで意識が変わる

私は毎日パレッタイズのセクションに入って、ワーカーに声をかけた。

「今日のインクジェットのコンディションはどう?」

「テープの貼り方はきれい?」

「こっちのラインは、何か問題はない?」

まずはセクションのチーフに声をかけ、その後ワーカーたちにも個別に声をかけながら同じことを聞いた。

「今日は、テープがなかったのを3箱見つけたよ」

「今のところ、インクジェットはいい感じだよ」

聞かれることで、以前なら無関心だったことにワーカーは意識を向けるようになった。

私は、3本のベルトコンベアを順番にまわって、カートン箱が積まれたパレットの山を全部こまめに確認し、もし不備があれば、その場で注意した。

はじめの頃、ワーカーたちは注意されると

「封印テープがきちんと貼っていないのはテープ係のせいだ」

「印字がかすれて判読できないのは、インクジェット係のせいだ」

と反発した。

問題が発生すると、ついつい前後の工程や他部署に責任を押し付けてしまいがちになるのは、どこでも同じ。
メキシコ人だから、という話ではない。

そんなワーカーたちに、私は

「まさにその通り〜!
テープの貼り忘れはテープ係のせいだし、印字がかすれて判読できないのは、インクジェット係のせい!」 でも、そういう不備のある箱をパレットに積んでしまったら、それはあなたたちの責任!
あなたたちの仕事は、不備のない箱だけを、間違いなくパレットに積むことだよ!」

と根気よく説明した。

「その代わり、もし、封印テープやインクジェットで、不良を見つけたらすぐに私に報告して。ちゃんと注意してくるから!
あっちだって、何も報告がなければ、自分たちが不良を出したり、ミスをしたってことに気づかないでしょ?
このままでいいんだって思っちゃうでしょ?
そしたらいつまで経っても不良は減らないでしょ?
こっちの手間も減らないでしょ?」

問いかけながら、納得してもらえるよう何度も話をして、実際、封印テープやインクジェットの不良が見つかれば、それぞれのセクションに行って報告をした。
時には、不良の現物を見せるために、5〜10キログラムのカートン箱を抱えて、他セクションまで小走りした。

パレッタイズのワーカーに、「あなたたちだけに責任を押し付ける気はない。それぞれが、自分の役割を果たすんだよ」ということを示して、理解してもらう必要があった。