井ノ上 美和
BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会) ナビゲーター、株式会社F&S Creations 顧問

私が勝手に作った“先頭係”やみんなの声出しのおかげで、パレッタイズの現場の雰囲気は明るくなり、作業効率も上がって、不良品の見逃しや混載のミス等も少なくなった。

けれど、それが定着したのは、業務や品質に対する意識が変わったというより、単純に自分たちの作業が楽になったから、現場の雰囲気が明るくなったから、という理由にすぎない。

例え、効率よく仕事をしていても、それだけでは自分たちの“仕事”をしていることにはならない。

1つ前の工程には片足だけ突っ込む

いくら“先頭係”を置いたところで、そもそもパレッタイズのセクションにカートン箱が流れてくる時点で、インクジェットや封印テープの不良がある箱が大量にあったのでは、先頭係も手に負えない。

パレッタイズの1つ手前には、インクジェット工程のセクションがあった。 インクジェット機で、サイズや向け地を印字されたカートン箱は、ベルトコンベアにのって、隣の建物にあるパレッタイズのセクションに流れてくる。

実は、私が“先頭係”をやり始めた時に、西海岸カーゴ社(仮名)の社長に頼んで、インクジェットのセクションに西海岸カーゴ社のスタッフを1人置いてもらい、カートン箱がインクジェット機を通過した後のところで、インクジェットやテーピングのコンディションをチェックしてもらうことにした。もちろん不良のあるものはここで弾く。

インクジェットに不良があるものは、パレッタイズに流れ込む前に止めるべきだ。
けれど、パレッタイズのワーカーが、“カートン箱をパレットに積む”のが自分たちの仕事だと思っていたのと同様に、インクジェット担当のワーカーは“インクジェット機のプログラムをセットして、カートン箱を通す”のが自分たちの仕事だと思っていたから、インクジェット機を通った後の印字のコンディションをチェックするような習慣はついていなかった。

インクジェットのワーカーも同時に再教育したいところだが、ものには順序というものがある。
そもそも、クーラー(冷蔵倉庫)で出荷準備のヘルプに来た“通訳”の私が、パレッタイズのセクションにまで出て作業をしていること自体、異例なのだ。
まだその段階ではない。ゆるりゆるりと入り込まなければいけない。

だからここはひとまず、西海岸カーゴ社のスタッフに合間を見て手伝ってもらった。スタッフもずっと付きっきりというわけにはいかないから、パレッタイズのセクションに流れてくるインクジェット不良のカートン箱の数は、ゼロにはならないもののかなり減った。もし、当初のままだったら、先頭係だけでは、取り除ききれなかっただろう。

パレッタイズへ流れる手前で、インクジェットを確認するスタッフ(右上の青いシャツの人)