“興味津々です!”を態度で示す

私は、声かけをしながら、彼らの仕事っぷりをちらちら観察した。挨拶ついでに、仕事の内容についてちょこちょこ質問もした。

「ここのベルトコンベアにはどのラインの製品が流れてくるの?」

「同じデザインの箱をどこで見分けてるの?」

「木目のパレットと青いパレットがあるけど、どう使い分けてるの?」

「もしインクジェットの表示がないのがあったらどうするの?」

一人に全部の質問を一気にしたら、まるで尋問になってしまうので、タイミングを見ながら1つずつ、違うワーカーに聞いていった。会話をすることでさらに距離感を縮めることができる。

彼らが答えてくれるたびに、私は相手の顔を見て、笑顔で相槌を打ち、

「へぇ〜そうなんだ〜。なるほどねぇ。教えてくれてありがとう!」

と、“興味津々です!”という態度をアピールした。
単なるアピールではなく、本当にどのように作業をしているのか理解する必要があった。

それから、人の良さそうなワーカーが並んでいるエリアを選んで

「お手伝いするね」

と声をかけ、ベルトコンベアとパレットの間にポジションを構え、流れてくるチェリーのカートン箱をパレットに積む作業を手伝い始めた。

チェリーの箱はほとんどが5キログラム入り。それを、動くベルトコンベアから持ち上げて、パレットに積んでいく。小箱の印字や、テープの有無やコンディションを確認しながら、パレットの四隅に合わせて、箱の向きも合わせてきれいに積んでいく。

スローペースで流れてきている時はいいが、箱がまとめて流れてくる時には、一箱一箱積んでいたのでは間に合わないから、一気に2箱(10キログラム)を重ねて持ち上げて積む。ワーカーは3箱重ねもしていたが、私には2箱が限界だった。さらにラッシュになると、担当している1〜2人で下ろしていたのでは間に合わないから、両サイドのワーカーも手伝ってくれる。

自分が担当している製品をきちんとキャッチできないと、そのまま後方に流れていってしまったり、ベルトコンベアから溢れ落ちてしまうから、必死で動く。重い~、なんて言っている場合ではない。次から次に、カートン箱は流れてくる。

最初の数日間、腕の筋肉痛はハンパじゃなかった。一日中立ちっぱなしだから足腰もガクガクになった。
普段、日本の生活で肉体労働と縁がないどころか、そもそも運動が大嫌いで、学生時代に部活経験もない私には、これはかなりの重労働だった。

しかも、パレッタイズを手伝うのはいいけれど、私には本来のクーラー(冷蔵倉庫)での出荷作業もあった。夕方、オーダーの内訳が決まってくる頃には、パレッタイズから極寒のクーラーに移り、夜中過ぎまで例の出荷作業をする。

今思えば、よくあれだけ身体がもったと思う。
疲れ果てたのを通り超して、早くも“ナチュラルハイ”状態だった。
ただ、「違う世界を見せてやる!」それしか頭になかった。

井ノ上 美和(いのうえ・みわ) BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会) ナビゲーター、ジョーシス 顧問
井ノ上 美和

メキシコ、スペイン在住歴6年のラテン系。
通信ベンチャー、医療用具メーカーなどの国際ビジネス業界で、オペレーション・営業のマネジメント、採用・社員教育、ISO/FDAの品質監査、広報、システム構築など、様々な業務に携わった経験を活かし、海外および国内企業で業務・組織改善、人財育成などのコンサルティングや研修を行う。
学習院大学、HAL東京などの教育機関や大手IT系企業を中心に、人生観や生き方をテーマにした講演会も展開。
スペイン語の通訳翻訳業では、ビジネス通訳のほか、フジテレビ「奇跡体験!アンビリバボー」などメディア出演も。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。