井ノ上 美和
BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会) ナビゲーター、株式会社F&S Creations 顧問

“通訳”以上の行動にでる許可はもらったものの、いきなりパレッタズのワーカーたちに「もっと注意して作業してね」と言ったところで、状況が改善するほど甘くはない。

「どうせメキシコ人だから、どうせ単純作業の労働者だから」という先入観を持っていたのは、西海岸カーゴ社(仮名)の日本人スタッフや、チェリー工場の経営陣やマネージャークラスのアメリカ人だけではなかった。
実は、当のメキシコ人ワーカーたちも、「どうせオレたちは、単純作業の労働者だから」という意識を強く持っていた。

西海岸カーゴ社の日本人スタッフが、自分たちの仕事は、“過酷な環境下で、次々と出てくる不備やミスを、ひたすら修正すること”だと思っていたのと同様、パレッタイズのワーカーたちも“箱をパレットに積む”のが自分たちの仕事だと考えていた。

荒々しい男たちの現場のオペレーションは問題だらけ

パレッタイズのセクションは、大柄でちょっとコワモテのメキシコ人やアメリカ人の男性ばかりが20名ほど働いていた。
セクションのチーフは、40代のメキシコ人で、年間を通してこの工場に務めていたが、パレッタイズのワーカーのほとんどは季節労働者。半数は毎年顔を出すメンバーだったが、残り半数は毎年入れ替わる“新人”だった。

15メートルほどある3つの大きなベルトコンベアに沿って、パレットが並び、1〜2人のワーカーで1つのパレットを担当する。
チェリーのカートン箱には、品種やサイズ、向け地などによって、異なる品番がつけられている。
1つのパレットには同じ品番の商品だけを積むので、ワーカーは自分が担当する品番を決め、その品番の箱だけをベルトコンベアから拾い上げてパレットに積んでいく。

大柄のメキシコ人男性がカートン箱を積み上げていく