井ノ上 美和
BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会) ナビゲーター、株式会社F&S Creations 顧問

凍てつくクーラーの中で、出荷時間に追い立てられながら、次から次に出てくる不良やミスを見つけ出しては修正し、何度もチェリーのカートン箱を上げ下ろしして、オーダー通りに出荷準備をする。

毎日、夜中まで、過酷な環境や労働に耐え、体力と気力の限界と戦い、ひたすら“頑張って”仕事をする。
スピードと正確さ、そして忍耐が求められる、それがチェリー工場での日本人スタッフの仕事だった。

約0℃のクーラーの中で夜中まで仕事をする

“頑張る”って?

西海岸カーゴ社(仮名)の日本人スタッフに限らず、多くの日本人は“頑張る”のが大好きだ。
「いやいや、最近の若者は忍耐がない、頑張りが足りない」と言う人もいるだろうが、世界レベルで見たら日本人は総じて頑張り屋さんだし、“頑張る”ことを評価する傾向にある。

ただ、私に言わせれば、頑張らなくとも、オーダー通りにミスなく出荷準備が整えばそれでいい。むしろ、頑張らないで作業が終われば、それに越したことはない。
頑張っていても、ミスの連発でクレーム処理コストがかさんだり、信用をなくしてしまっては意味がない。

私がよく、「頑張らなくていい」と言うと、誤解する人がいる。
しかし、“熱心にやる”、“集中してやる”、“何かを達成するために力や時間をかける”と、“頑張る”は決して同じことではない。

“頑張る”を辞書でひくと、“困難にめげないで我慢してやり抜く”とある。
私は“困難にめげずにやり抜く”ことには意味があると思うが、“我慢してやり抜く”ことにはそれほど魅力を感じない。