井ノ上 美和
BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会) ナビゲーター、株式会社F&S Creations 顧問

私を呼んだ西海岸カーゴ社(仮名)はロスの国際空港のすぐ近くにオフィスがあるが、チェリーのシーズンだけ、ロスから500キロメートル以上離れた片田舎にある広大なチェリー工場の一角に簡易オフィスを置いて、日本人をメインとする10人ほどのチームで出荷業務に対応する。

ロスのオフィスからメインスタッフを3〜4人、日本の本社や系列会社からも海外研修をかねて若手社員を1〜2人派遣してもらい、現地のアルバイトも2〜3人集める。

西海岸カーゴ社がチェリーの出荷業務を請け負うようになってから8年目だったが“通訳”としてチェリーのプロジェクトに参加したのは、私が初めてだった。

西海岸カーゴ社のスタッフは、チェリー工場に所属するフォークリフトのドライバーとペアを組んで作業をする。
ドライバーは全員メキシコ人だし、工場の他のセクションのワーカーもほとんどがメキシコ人だったけれど、みんな日常的に英語を話すし、業務そのものにそれほど高度な英語力は必要ない。一見、日本人スタッフとのコミュニケーションは問題なさそうに見える。
そういう意味では、これまで“通訳”は必要なかった。

“通訳”に期待された役割

けれど、日本の某大手スーパーマーケットチェーンとの契約が決まり、西海岸カーゴ社はこれまで以上の品質、スピード、正確さを求められることになった。それには、チェリー工場のワーカーとのコミュニケーションが何よりも大切になる。ちょっとした言葉や価値観の違いから、思わぬ誤解やミス、トラブルが発生するのだ。