以来、このデイリーレポートから始まった品質改善業務は、統括マネージャーや現場にいる女性チーフたちを中心に進められた。
私は、デイリーレポートを統括マネージャーだけに送り、現場にいる女性チーフや昨シーズンから仲良くなっていた男性の各ラインマネージャーやチーフたちが、現場のワーカーたちへの啓蒙に協力してくれた。

誤解してもらいたくないのは、これは性別の問題ではなく、“当事者意識”の問題だということだ。

自分は何を動くでもなく、高みの見物をしながら「どうするつもり?」「こんなんじゃダメじゃないか、どうにかしてもらわなきゃ困るよ」と言っているだけの人が、下手に口を出してくると話がややこしくなる。

欠点や問題点を見つけて批判するだけでは“当事者”とはいわない。
問題を解決するために、状況を改善するために、自らの問題点を見つけ、自らが動いて、初めて“当事者”だ。

けれど、“当事者”は、当然、自分のマイナス面をさらけ出し、今までできていなかったことや問題点を認めて、自分自身と向き合わなければいけない。

問題解決のための新しい一歩には、失敗したらどうしよう、うまくいかなかったらカッコ悪い、という不安やリスクも必ず生じる。

だからなかなか行動を起こせない。

実際、その後、営業や品質管理のマネージャーや西海岸カーゴ社の社長が品質改善に関して具体的な行動を取ることも、口を出してくることもなかった。

「“現状”は自分の責任だ」と受け止められないのなら、向き合えないのなら、関わらない方が無難だ。

本当の“成果”や“自信”を手に入れることができるのは、自分自身に挑める“当事者”だけなのだから。

チェリーの品質チェックの様子を撮影するラインマネージャー。自分たちで作業手順や品質管理を意識するようになった。
井ノ上 美和(いのうえ・みわ) BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会) ナビゲーター、ジョーシス 顧問
井ノ上 美和

メキシコ、スペイン在住歴6年のラテン系。
通信ベンチャー、医療用具メーカーなどの国際ビジネス業界で、オペレーション・営業のマネジメント、採用・社員教育、ISO/FDAの品質監査、広報、システム構築など、様々な業務に携わった経験を活かし、海外および国内企業で業務・組織改善、人財育成などのコンサルティングや研修を行う。
学習院大学、HAL東京などの教育機関や大手IT系企業を中心に、人生観や生き方をテーマにした講演会も展開。
スペイン語の通訳翻訳業では、ビジネス通訳のほか、フジテレビ「奇跡体験!アンビリバボー」などメディア出演も。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。