今回、私がチェリー工場に入った時、社長からは

「Miwaちゃんには、去年と同じように、またパレッタイズやテープ貼りの現場に張り付いて、ミスや不良のチェックをしてもらいたい。
ワーカーたちもMiwaちゃんが見ていれば、ちゃんとやるから」

と指示があった。

今回は、昨シーズンと違って、“通訳”としてではなく、業務改善の“アドバイザー”としてチェリー工場に入ることになっていたから、私も自分なりにどのように業務改善を進めていくか、渡米前にあれこれ多少は考えていた。

到着してみるまで、まさかこんな大凶作になっているなんて知らなかったし、頼んでおいたはずの“権限”もないなんて、完全に想定外だったけれど、いずれにしても昨シーズンと同じことをやるつもりはまるでなかった。

「申し訳ありませんが、もう今年はそんなにパレッタイズやテープ貼りにぴったりくっ付いて、一緒に作業したりするつもりはありません。

私が見ていないとちゃんと仕事ができないというのでは、全く業務改善になっていません。
私が見ていなくても、きちんと仕事ができるようにもっていくのが私の仕事です。
今年は、去年やったことを踏まえて、次のステップに移ります」

私はそう答えた。

「そりゃ、理想はそうだけどさ…、難しいと思うよ。
 まぁ、Miwaちゃんに任せるけど」

西海岸カーゴ社の社長も、他の日本人スタッフやアメリカ人のマネージャーたち同様、「どうせメキシコ人だから、どうせ単純作業の労働者だから」という先入観をもっていた。

先入観を持つのに十分な、過去7年間の“実績”もあった。
昨シーズン、私が業務改善に着手するまで、西海岸カーゴ社のスタッフたちは、毎年毎年、約0℃のクーラー(冷蔵倉庫)の中で、夜中過ぎまで、ひたすらメキシコ人ワーカーのいいかげんな作業の尻拭いをするために、過酷な労働に耐えてきたのだ。

「自他共に認める“ルーズで怠け者”のメキシコ人を相手にしているんだ。そんなに簡単にいくわけがない」
「昨シーズンのように、お目付役がいれば、ちゃんと仕事はするだろうが、見張っていなければ、すぐに怠ける」
そう思うのもムリはない。