川口 啓
学校法人産業能率大学 総合研究所 経営管理研究所
受託開発センター長

新入社員研修で身に付けたかった本当のこと

 新年度も2カ月近くが過ぎ、新社会人のなかには職場に配属が決まり、緊張感いっぱいの毎日を過ごしている人たちも増えてきている頃かと思われます。

 入社直後の新入社員の大半が最初に経験するのが「新入社員研修」でしょう。そこでは主に、社会人としての心構えや基本的な仕事の進め方、ビジネスマナー、加えて会社や団体固有の事業のしくみ、理念などの知識やスキルを総合的に学びます。社会人として仕事を進めるうえで必要な基本装備を身に付けるための大切な手続きといえるかもしれません。

 さて、それから何年いや何十年も仕事の経験を積み、ベテランの社会人となったみなさんは、当時のことを振り返ってどのように感じますか? 確かに、職場に配属された当時、研修を通じて学んだことを自分なりに役立ててきたこととは思います。これはタラレバですが、配属前にこんなことを学ぶことができたらもっと良かったのにと思うことがあるとすれば、それは一体何でしょうか?

 ここに産業能率大学が、今年4月に実施したアンケート調査結果があります。これは社会人2年目の男女と社会人6~12年目の男女に対して、「仕事をうまく進めるためのセンス」をキーワードに実施しました。ここでは次のような傾向が出ています。
(図1)

 我々はここで「仕事をうまく進めるセンス」というワードを用いて問いかけています。その定義を明示している訳ではありませんが、それでも全体の60%の人が、仕事のセンスのない人がいると回答しています。ちなみに内訳を見ると、入社2年目の人の54.7%が「仕事センスのない人がいる」と回答しているのに対し、入社6年目以降の人では回答が65.3%と上昇しています。このことからも、経験年数が高まるにつれ「仕事センス」への感度は高まり、同時に「仕事センス」で人を評価する目が厳しくなっていることがうかがえます。

 先ほど触れたとおり、新入社員研修で学ぶことの多くは知識やスキルが中心でした。でも、それらを身に付けることと「仕事センス」があることとは、どうやら別のようなのです。