関 和美
アイ・ティ・イノベーション ソーシアル事業部 部長

 「メンバーの仕事をマネジャーがいかに支援するか」。これは、メンバーの成長にとって極めて重要です。メンバーがマネジャーに支援してもらいたいケースはいくつかあります。(1)問題に対する解決策が見つけられない場合、(2)解決策はあるがその判断・決断に対して助言が欲しい場合、(3)メンバー自らでは解決できない場合、などです。

 これら場面でマネジャーとして支援するには「タイミングの見極め」と「実行」が重要です。支援のタイミングを見極めるには、メンバーの行動を観察し、変化を察知する必要があります。例えば「いつも早く出社していたのに最近遅刻しがち」「会話が減っている」「残業が多い。チームの中で一人だけ遅い」「ミスが増えている」といった変化を見ます。

 あるマネジャーは、仕事中によく冗談を言ってメンバーを笑わせています。ただふざけているのではなく、「冗談を言った時に笑っていたメンバーが最近笑わなくなった」とか変化を見ているのです。また、コミュニケーションが取りにくいメンバーについては、様子を探る工夫が必要です。

 このように支援のタイミングを見極めた後は、支援の「実行」です。先述した(1)(2)の場合には、相手に合わせてコーチングとティーチングを使い分けながら支援します。新人には、ティーチングの割合を増やします。マネジャーが経験した成功方法を教え、仕事を覚えさせることが必要です。数年経験したメンバー、特にこれから伸ばそうと思っているメンバーに対しては、コーチングの割合を増やします。

 ITエンジニアとしての経験が浅いメンバーは、視点が一つに固定されていることが多く、それによって問題が袋小路にハマっている場合があります。こうしたケースでは、視点を増やすようアドバイスすると解決に向かう場合があります。システム構築の視点から、運用者や利用者の視点、あるいはプロジェクトオーナーの視点に変えて考えると、良い策が思い浮かぶものです。例えば、月に1度も発生しない業務上の例外処理をシステムでカバーする策から、運用でカバーできるのではないか、あるいは顧客へのアナウンスで済めばもっとコストが削減できるのではないかといった策が浮かんできます。

 (3)メンバー自らでは解決できない場合、メンバーの責任範囲を超えてきている事態であるため、マネジャーが責任を持って行動を起こさなければなりません。行動を起こさなければ、メンバーは報告しても無駄と感じ、問題を隠ぺいしがちです。実際、トラブル時にマネジャーに報告しているかを尋ねると「報告すると詳細な内容を問われ、忙しいのにさらに大変になる。その割にマネジャーは何も支援してくれないので無駄」といった返答をする人が少なからずいます。適切な報告がされなくなると組織マネジメント不全になるのです。すぐに行動を起こせない場合でも、経過や状況を把握することが重要です。

 (1)(2)(3)のケースがあるとき、マネジャーが適切に支援しなければ、メンバーは出口の見えない仕事を抱え込んで追い詰められ、モチベーションが低下し、大きなストレスを抱えることになります。このような環境でメンバーが成長できるはずがありません。マネジャーがメンバーを観察し、適切に支援する環境を整えることが、メンバーを成長させる近道になります。

(「日経SYSTEMS」2015年11月号から転載)
関 和美(せき・かずみ) アイ・ティ・イノベーション ソーシアル事業部 部長
関 和美

 金融系のSEとしてネットワークシステムの設計、アプリケーション開発の要件定義や設計を経て、プロジェクトマネジャーを担当。2007年アイ・ティ・イノベーションに入社。通信系大規模プロジェクトにおけるPMOの運営およびPM支援を実施。超上流工程のコンサルティングを手掛け、現在は人材育成、研修事業を推進している。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。