関 和美
アイ・ティ・イノベーション ソーシアル事業部 部長

 メンバーのキャリアプランを描くときにスキル、強み、環境、年齢の考慮が必要になる。では、具体的にどのようにキャリアプランを描けばよいのだろうか。今回は、スキルや強みの観点で各職種に関して見ていこう。

●プロジェクトマネジャー(PM)

 PMは、メンバーをまとめ上げて引っ張っていく力(リーダーシップ)が重要になる。そのため、チームで分業して作業ができる、仕事の優先度を決められる、非協力的な人とも進められる、極端に好き嫌いがない、といったヒューマンスキルの高い人が強みを生かせる。複数の作業を同時に進められる能力も重要だ。PMになるためのスキルアップには、数人のチームのリーダーを経験した後、ある程度の規模のマネジメントに携わることが有効だ。

●ビジネスアナリスト(BA)

 BAは、現状を分析し、将来モデルを描く職種だ。さまざまな角度や粒度の情報を整理できる、全体像を簡単に描ける、論理的で分かりやすい報告書や提案書が書けるなど、コンセプチュアルスキルが高い人が適している。ベンダーであれば顧客の仕事、情報システム部であれば業務部門やバックオフィス系の仕事や企画など、ITとは離れたビジネスや業務を経験すれば、ITからの視点を変換しやすくなる。

●アプリケーションスペシャリスト/ITスペシャリスト

 技術力高さが求められるアプリケーションスペシャリスト/ITスペシャリストは、一つの事を深く追求したい、新技術を使った仕事を率先して楽しくできるなど、テクニカルスキルの習得が好きな人が向いている。まず、複数のプロジェクトを掛け持ちするより、大規模プロジェクトで集中する働き方をお薦めする。

●ITアーキテクト(ITA)

 ITの全体構想を描け、それをIT化につなげるITAは、スペシャリストとBAの両方の強みが必要だろう。技術的興味と俯瞰(ふかん)力がともにあるほうがよい。ミッションクリティカルなシステムなど、非機能要求の高いシステムを担当し、アーキテクチャーの問題に突き当たり、それを解決するといった経験が重要になる。

 組織も人も、一般的には弱みの克服に向かいがちだ。しかし、弱みを克服するより、強みを生かすほうが成長は早い。ただ、いずれの職種であっても良質な経験を得なければ、知識や強みをスキルに変えられない。

 良質な経験を得るには、別の部署では働くことが大きな機会となる。例えば、スキルアップの現場と、標準作りなどの体系立てて知識をまとめる場の両方を経験すると、感覚的に進めていた仕事を形式知に変換できる。ずっと社内システムを構築しているメンバーの場合、社外システムを経験すれば、発注側と受注側の両方の視点を持てるようになる。

 しかしマネジャーは、仕事ができるメンバーには安心して任せられる半面、そのメンバーを手放したくなく、現場仕事にしばりがちだ。筆者の師は「最も信頼できる部下を外に出せ」と言っていた。そのほうが成長の機会を与えるだけではなく、長期的に必ずWin-Winの関係が築けるからだ。ためらわず外に出していただきたい。

(「日経SYSTEMS」2015年8月号から転載)
関 和美(せき・かずみ) アイ・ティ・イノベーション ソーシアル事業部 部長
関 和美

 金融系のSEとしてネットワークシステムの設計、アプリケーション開発の要件定義や設計を経て、プロジェクトマネジャーを担当。2007年アイ・ティ・イノベーションに入社。通信系大規模プロジェクトにおけるPMOの運営およびPM支援を実施。超上流工程のコンサルティングを手掛け、現在は人材育成、研修事業を推進している。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。