ゼネラリスト育成の観点で組織を異動し続ける日本企業においては、なかなかプロが育たず、執念やこだわりを持つことが難しいとは思いますが、我々がビジネスパートナーとしてご支援に入る場合は、たとえ百戦錬磨のベテランでなくとも、気骨のある人がいると成功確率が非常に高いです。

 当然、組織が大きくなれば個人の頑張りだけではなく組織、そしてそれを導くリーダーの心持ちも重要です。

 以前ご相談をいただき、提案をさせていただいた働き方改革を進めたいという企業で、担当者がまずは自分たちの業務改善から考えようとITを使った業務改善を上司に申し出たところ、「お金を使ってサービスを導入しなくても、お前が頑張って1件1件対応できるなら、時間をかけてやりなさい」と言われて予算が通らなかったそうです。

 しかも、それが働き方改革の旗振り役であるはずの人事部門の課長職の方の言葉だそうです。個人がどれだけ思いを持って対応に当たっても、組織として同じ方向を向いていないと改革は成功しません。

時間軸の感覚

 我々がご支援に入る場合、往々にして“コミュニケーション”をテーマにした課題解決であることが多くあります。担当者の方と、どのような運用をして、どうステークホルダーを巻き込んでいくかを議論しますが、時々「2~3カ月で成果が出ないとプロジェクトはクローズです」とおっしゃる担当者がいます。

 これまで数年以上にわたり解決策を見いだせず、手を付けてこなかったものが、数カ月で、かつ一発で解消できるような魔法があるなら、そこまで苦労されていないはずです。もちろんできるだけ短期間で結果が出ることが最良ではあります。ですが、特にコミュニケーション問題は企業文化や風土にも大きく依存し、まさに“水物”。PDCAサイクルを回しながら、何が刺さるか見極めるのにも時間がかかります。

 課題の複雑さや難易度に合わせて、改革の成果が出るまでに、それなりの時間を覚悟しなければならないものもあることを理解していただくのも大切な要素です。

プロセスは千差万別

 このように、改革成功のためにある程度共通化できる部分もあるかと思いますが、実際の進め方やスピード感は組織によって面白いほど違います。人事部門の方とお話しをすると、他社の成功事例を欲しがる傾向が特に強くあり、我々も実績を証明するために提示します。

 ただ、結局、成功した企業でも時間軸や対応の方向性が全く同じになることはありません。自社の課題に向き合う覚悟とそれに合わせたトライアンドエラーを繰り返しながら、折れずにやり遂げた企業こそが、改革の果実を得られることはもはやいうまでもありません。

佐原 資寛(さはら もとひろ) EDGE株式会社 代表取締役社長 チーフエヴァンジェリスト
佐原 資寛

2008年横浜国立大学工学部在学中より、社内SNS「エアリー」事業へ参画し、エアリーダイバーシティの立ち上げに従事。その後、パートナー担当マネージャーを経て2014年より事業部長を務める。国内最大のテーマパークをはじめ、社内SNSを活用した従業員満足度向上をコンサルティング。新卒採用、新人育成、研修フォロー、従業員満足度向上、離職率低減、女性活躍推進など、各人事課題に対するソリューションとしての社内SNSの支援実績は累計100社を超える。2017年4月よりEDGE株式会社にて代表取締役社長を務める。

●EDGE株式会社 オフィシャルサイト
http://www.edge-inc.co.jp/
●女性活躍推進のためのSNS「エアリーダイバーシティ」
https://diversity.airy.net/
●従業員満足度が劇的に向上する社内SNS「エアリー」
https://airy.net/
●内定者フォロー・新入社員研修SNS「エアリーフレッシャーズ」
https://fresher.jp/

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。