手厚い教育研修実施が難しくなる時代

 働き方改革を進めていくと、オフィスに出社し、勤務時間中にする仕事の取捨選択を迫られます。

 こういった場合、必ず犠牲になるのが人財育成のための教育にかける時間、例えば若手を育成するためのコミュニケーションの時間や研修にかける時間です。研修などは、今まで事前研修、本研修、フォローアップ研修という形で知識の定着を図っていたものが、これからは現場からの反発もあって実施が難しくなってくるでしょう。

 しかし、インプットや学びの時間を確保しなければ、成長は見込めず、研修のやりっぱなしは研修効果を低下させてしまいます。

教育研修にもITによる革新を

 そこで、事前研修はeラーニングを使い、受講者のタイミングで研修受講前の知識レベルを一定にそろえる。研修前の課題の抽出には社内SNSを活用して時間や場所の制約を受けずにディスカッションさせ、研修後のフォローもオンラインでのコミュニティーを活用して研修実施の効果を最大化するという動きも出てきています。

 もともと、研修や社外講師による講演は「良い話を聞いた」という感想になりがちなのです。

 人事部門も受講直後に採ったアンケートの平均点が5点満点で4点を超えたから翌年も同じ講演を依頼するという意思決定をしがちでした。しかし、どれだけ素晴らしい話を聞いても、職場に戻った後の行動変革につながらなければなんの意味もありません。

 日々の業務に忙殺され、なんの変化も改善もないままになってしまっては全く研修の意味がないといっても過言ではないでしょう。

 そういった事態を避けるために、研修中にグループ内で個人の行動変革目標を宣言させ、宣言し合った受講者同士で社内SNSを通じて目標への進捗を報告し合うという内容ができないかという依頼をいただいたのがきっかけでした。昨今の働き方改革下での研修実施において、この手法は非常に有効なため同手法の実施について問い合わせが増えています。

ITによる革新が遅い人事部門

 一方で、以前のコラムにも書きましたが、「人事部はコスト部門だ」という意識のもと、IT化が最も進んでいない部署といっても過言ではないかもしれません。

 「人手でできるなら余計なコストは使うな。お前が頑張ってやれ」といったやり取りが、なんの違和感もなく発生してしまっている状況は、働き方改革の旗振り役を担う部門として再考すべきかと思います。

 最近はようやくHRテックやAIといったワードを聞くようになりました。しかし、まだまだベンダーが声高にアピールをしているだけに過ぎず、現場でのITを使った働き方改革が進んでいるとはいえません。前述したとおり研修受講者への負荷軽減にITは多いに役に立ちます。人事部門の管理工数の削減にも、大きな効果を発揮します。

 教育研修には紙での管理がつきものかと思います。事前の案内や事前課題の一括配信、個別の質問も電話でのやり取りだと、受電した時の作業を中断しなければなりません。

 しかし、メッセージでのやり取りとともに、以前からよくある質問を書きためてFAQを作成すれば同じような質問に手を煩わせる必要もありません。研修後の成果もやり取りされている内容をオンラインで確認すれば、人事が成果を確かめるためのレポートを求める必要もありません。それを管理する人事側の工数も必要ないのです。