「育休は制度で認められる期間全部休む」

 少し話題はずれますが、保育園にお子さんが入れず、社員が復職できない事態を避ける目的で、育休取得ができる期間を延長する企業が増えた時期がありました。その際、育休を取る社員が盲目的に制度で認められる期間をすべて休むことが課題になりました。

 当然のことですが、休み期間が長くなればブランクが長期化し、仕事に復帰する際のハードルは上がります。長期間休むことのデメリットを理解しないまま育休期間を最大で取得するという意思決定をする社員に対して、人事部側は長期間休むことのデメリットをセミナーで説明したり、早期復帰に対して保育料を補助したりするなど、制度拡充後の対応に追われた企業も少なくありません。

 本来の育休期間延長の意図は、待機児童問題で退職とならないようなセーフティーネットである点、休む期間が長くなるデメリットもあるということを説明し、理解してもらっておくべきだったのではないでしょうか。

上滑りしない施策の展開にはコミュニケーションが重要

 人事施策や会社方針が現場に誤って伝わることや、施策が上滑りしないようにするためには、人事を含む経営と現場の日々のコミュニケーション、情報発信、対話、そして社内に対してのマーケティングが重要です。

 お客様や社外へのマーケティングに力を入れる企業は多いですが、人手不足の昨今、働き手である社員が何を考え、経営方針や会社施策に対して何を感じているのか、どう理解しているのかを把握し、また経営層の考えをプロセスも含めて正しく現場に伝えていくという社内向けのマーケティングに注目が集まっています。

 当社にてお手伝いした事例では、巨大な組織が上場を控える中で、本社から地方支社、支店に至るまでの各拠点から、役職も役員から現場社員までのなかで選抜した数百人が、企業全体の縮図となるようなグループを作り、上場後の企業の姿をどう描いていくかについて、オンラインでディスカッションしてもらいました。その中で経営層が考える未来像を理解し、各拠点から参加した現場社員が経営層の声を伝える役割を果たしました。

 役員がアルバイトを含めた現場に対して、社内SNSを通じて直接、自らの言葉で、頻度高く語りかけることも非常に効果的です。経営の意思決定とそれに至る自らの考えを自身の言葉で語ることで、施策の上滑りや疑心暗鬼は解消できます。万が一、社員が違和感を持った際にはコメントを付けて対話をすることで、解釈の仕方による勘違いを防止することもできます。

 働き方改革で新しい取り組みを実施する企業が増えている昨今、施策を上滑りさせないために、社内に対してのマーケティングに取り組まれてはいかがでしょうか。

佐原 資寛(さはら もとひろ) EDGE株式会社 代表取締役社長 チーフエヴァンジェリスト
佐原 資寛

2008年横浜国立大学工学部在学中より、社内SNS「エアリー」事業へ参画し、エアリーダイバーシティの立ち上げに従事。その後、パートナー担当マネージャーを経て2014年より事業部長を務める。国内最大のテーマパークをはじめ、社内SNSを活用した従業員満足度向上をコンサルティング。新卒採用、新人育成、研修フォロー、従業員満足度向上、離職率低減、女性活躍推進など、各人事課題に対するソリューションとしての社内SNSの支援実績は累計100社を超える。2017年4月よりEDGE株式会社にて代表取締役社長を務める。

●EDGE株式会社 オフィシャルサイト
http://www.edge-inc.co.jp/
●女性活躍推進のためのSNS「エアリーダイバーシティ」
https://diversity.airy.net/
●従業員満足度が劇的に向上する社内SNS「エアリー」
https://airy.net/
●内定者フォロー・新入社員研修SNS「エアリーフレッシャーズ」
https://fresher.jp/

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。