最近IoT(アイオーティ:Internet of Things)という用語を、当たり前のようにWebやテレビCMで見るようになりました。いろいろな物をインターネットに接続して活用する、物のインターネットであるIoTは「家電や自動車のIoT化」といった装置自体の進化、また「IoTを使用した野菜栽培」といった仕事のやり方の進化という面で語られます。

 いずれもIoTによる進化ですが、IoTがもたらす最もドラスチックな進化といえば、農作物や製品をつくりそれを売るといった1次産業、2次産業、3次産業から、知識・情報を製品とする4次産業、すなわちデジタルビジネスへの変化です。

 IoTという用語を初めて使ったのは、1999年にP&G社のアシスタントブランドマネジャーだったケビン・アシュトンとされていますが、実用化されてきたのは2010年くらいからで、国内でも2014年くらいからコンピュータ関連雑誌にIoTが取り挙げられるようになりました。

 この時期に開発された有名なIoTシステムとして、GE社(General Electric Company)のPredix™があります。Predix™は稼働中の航空機エンジンの状態をセンサーで収集、デジタル化。解析システムで異常を検知し、必要な保守を素早く行うためのシステムでした。GE社は後にコンサルティング会社と組み、センサーで収集された膨大なデジタルデータを活用し、航空会社に対して燃費向上・安全性向上を図るソリューションを提供するデジタルビジネスを始めました。 

 ところで、IoTシステムとは技術的にはどのようなものでしょうか?

 基本構成は難しいものではなく、主要構成は次の2つです。

■IoTデバイス:
 対象物からデータを収集します。
 センサー、上位装置との通信手段(Wi-Fiなど)を機能として持ちます。多数のIoTデバイスを構成する場合にはIoTデバイスのデータをまとめるIoTゲートウェイを構成する場合があります。
■IoTサーバ:
 IoTデバイスからのデータを集めて解析を行います。
 大量データ処理するビッグデータ処理やAIなどによるデータ解析が行われ、人間の役に立つ傾向や特性を見つけ出します。

 これらの他にも関連技術としてIoT専用ネットワーク(LPWA:Low Power Wide Area)や業界特有の技術(自動車なら自動車の各部をコントロールするECU(Electronic Control Unit)など)があり、それらが日進月歩で高度なものになってきています。ただIoTシステムはIoTデバイスとIoTサーバで構成する極めてシンプルな構成であり、IoTシステムの良否はこれらをどのように適用するかにより決まります。

 よいIoTシステムはより多くの人々に、より大きな幸福や利益をもたらし、イノベーションを起こしますが、逆にむやみに使えない大量データを集めるシステムになることもあります。 

 私は2014年からIoTについての学習を始め、2015年から無線ネットワーク、センサー、セキュリティ、MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)主催「IoTシステム技術検定」に対する対策講座など、IoTの関連技術講座を立ち上げてきました。IoT技術者にとってこれらの技術を習得することは大切ですが、成功しているよいIoTシステムを見ると、イノベーションを起こすためには、IoT技術者に以下のような人間力が必要ではないかと感じています。

■多くの関連者を巻き込んだエコシステムを形成するための
 リーダシップ、プレゼンテーション力、交渉力
■顧客の真の要望を聞き取るコミュニケーション力
■顧客が満足するソリューションを考え出す発想力、創造力

 いろいろな物や人をインターネットでつなげるIoT時代では、人財育成についてもより多くの物や人を“つなげられる”人間力のある技術者の育成が これまで以上に大切になることは間違いありません。

※記載されている会社名、商品名は、各社の商標または登録商標です。

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川口 幾雄(かわぐち・いくお) 株式会社 日立インフォメーションアカデミー
L&D第二部 上席インストラクタ
川口 幾雄

東京理科大学理工学部卒業。日立製作所にてストレージのファームウェア開発を経験後、ストレージ技術者に対する教育に従事。

以下のような幅広い研修を担当。
・新人研修、情報処理関係講座、ネットワーク研修、言語系(C言語・Java)
・関連プラットフォーム(サーバ、メインフレーム)

その後、日立ストレージ研修シリーズ「Hitachi Storage Solutions」の立ち上げに参画、研修取りまとめ業務・企画、講師業務を担当。現在、IoT関連研修を中心に講座の企画、講師業務を担当。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。