人事評価もIT活用の時代

 この人事評価も、最近ではIT(情報技術)を活用する時代となり、筆者の所属企業でも図表3に示すようなクラウドを活用した評価制度の提供を開始しています。

 このクラウドサービスにおいては、評価制度の全プロセスをクラウド上で実現し、期末時点での適正評価に結びつけることを目的としています。期初における目標設定に始まり、期中における中間レビュー、期末における評価まで、一貫した流れをクラウド上で実施できます。また、内蔵された能力評価のテンプレートから自社に合った基準を選択して、簡単に評価基準を作成できる環境も整備されています。

 なにより、立てた目標の進捗状況を定期的に上司・部下の間で確認するための「振り返り機能」により、自己の目標の確実な達成をサポートする仕組みも配慮されています。これまでエクセルなどで運用されてきた人事評価表を一元管理できるようになり、過去の評価履歴もクラウド上で管理できるようになりました。

 人事制度や評価制度の今後の活用においては、昨今話題のAI(人工知能)の動向なども含めて、IT分野の進歩・発展の方向性も視野に入れる時代となったということなのです。

 本連載は、今回で終了です。中小企業にとっての人事制度の重要性や構築・導入のためのポイントについては、限られた内容ではありましたが、細大漏らさず触れてきたつもりです。あとは、この内容を、各社の実情に照らして応用・実践していただくことを期待しています。

 最後に、本連載の内容が、人事制度を1つのテコとして、自社の経営戦略を実現しビジネスの成長を一段と加速させたいと考えている多くの中小企業経営者にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

関連セミナーのお知らせ
新任人事担当者のための『人事制度改革の戦略と実際』〜戦略に基づく人事制度改革の具体的な考え方・進め方・検討ポイントを詳解〜
【日時】4月15日(金)、6月17日(金) 10:00〜17:00【会場】東京(半蔵門)
吉田 寿(よしだ・ひさし) ビジネスコーチ株式会社
常務取締役チーフHRビジネスオフィサー
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ
吉田 寿

1959年生まれ。
早稲田大学大学院経済学研究科修士課程修了。
富士通人事部門、三菱UFJリサーチ&コンサルティング・プリンシパルを経て、2015年1月より現職。
“人”を基軸とした企業変革の視点から、人材マネジメント・システムの再構築や人事制度の抜本的改革などの組織人事戦略コンサルティングを、中小企業から大企業までグループかつグローバルに展開している。
中央大学大学院戦略経営研究科客員教授。早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。

主な著書として、『世界で闘うためのグローバル人材マネジメント入門』(日本実業出版社)、『リーダーの器は「人間力」で決まる』(ダイヤモンド社)、『企業再編におけるグループ人材マネジメント』(共著、中央経済社)、『ミドルを覚醒させる人材マネジメント』、『人事制度改革の戦略と実際』、『人を活かす組織が勝つ』(以上、日本経済新聞出版社)、『社員満足の経営』、『仕事力を磨く言葉』(以上、経団連出版)、『人事超克』、『未来型人事システム』(以上、同友館)など。その他論文、新聞・雑誌への寄稿、講演多数。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。