吉田 寿
ビジネスコーチ(株) 常務取締役

 人事制度が導入された後に、必ず実施が検討されるものに評価者研修があります。評価者研修自体は、かなりポピュラーなものであり、決して目新しいものではありません。しかし、長らく人事制度の構築を支援し、併せて評価者研修の講師を担当してきた立場からすると、評価者研修そのものが、ひょっとすると最強のマネジメント教育ではないかとの思いを強くするようになっています。

 特に中小企業の実態からすると、評価制度が未整備なところも多く、体系化された評価者研修をこれまで一度も実施したことがないというところも少なくはありません。

 そんなところから、今回はこのテーマを採り上げてみたいと思います。

なぜ評価者研修が最強のマネジメント教育なのか?

 評価者研修がなぜ最強のマネジメント教育といえるのでしょうか? この点に関して、まず3つのポイントを挙げたいと思います。

①適正な評価とマネジメントの実践とは、コインの裏表の関係にあることを知る

 マネジメントの基本は、いうまでもなく部下の仕事の適正な管理にあります。日々の仕事とは、業務計画に基づく確実な実行です。日々の仕事を確実に実行していくためには、いわゆるPDCAのマネジメント、つまりPlan(計画)⇒Do(実行)⇒Check(評価)⇒Action(行動)のマネジメント・サイクルを着実に回していくことが求められてきます。評価者研修においては、この点をまず学ぶことになります。

 この場合、上司(評価者)の仕事は、部下が自分の目標と役割の達成に向けて適正な行動を取っているかどうかを把握し、必要に応じて問題解決を図ることになります。この部下の行動の把握がきちんとできていないと、客観的な事実に基づく評価は不可能となり、評価に対する部下の納得性は大きく低下します。つまり、納得性の高い人事評価を実現することと、しっかりとしたマネジメントを実践することとは、コインの裏表の関係にあるということを知るのです。

 とかくしっかりとした評価制度を導入すると、管理職の立場からは、日々の業務のマネジメントを的確に実施することだけで忙殺されているのに、評価実務まで加わると、自分の業務負荷がさらに増えてしまうといった反応を示す場合が多く見受けられます。しかし、むしろ日々の業務のマネジメントを実践していく延長線上に、評価実務があると考えるべきなのです。評価者としての業務を適正に遂行することが、つまりは管理職としてのマネジメント・スキルを高めることにつながるということを、評価者研修を通じて理解することになります。