中小企業にありがちな評価者の資質・スキル不足

 さて、本来的には、このような趣旨の評価制度ですが、中小企業における実情には、また違ったものがあります。

 例えば、評価基準や評価表に関しては、管理職用と一般社員用の2種類しか作られておらず、実際の仕事の内容や職種の特性を適切に反映したものになっていないケースも数多く見られます。決められている評価基準も実に曖昧で、実際の評価の際に支障を来している場合もあります。成果や業績の項目も「仕事の量」や「仕事の質」といった定性的な評価項目が基本で、一般的な目標管理の仕組みすら導入されていないケースもあります。

 いちばん問題なのは、公正な評価の実現を企図しても、管理者(評価者)の資質とスキルが伴っていないために、人事評価が適正に運用されていないという現実です。このような状況では、人材育成を目的とした評価制度が健全に機能する余地もありません。

 人事評価の適正運用のためには、必然的に評価者のレベルアップが求められてきます。

生活の基礎を確保し成果を反映する報酬制度

 最後に報酬制度です。

 報酬制度は、企業によっては、給与制度や賃金制度とも呼ばれています。どのような呼称を用いるかは、その企業のカルチャーにもよるため、自社になじめる名称を採用すれば、それでよいと考えます。

 報酬制度の構成は、大きく生活の基礎を確保する月例給与部分と、社員本人の成果や貢献度を反映する賞与部分から成り立っているのが一般的です。

 月例給与は、基本給と諸手当から構成され、賞与は生活保障部分(固定部分)と業績反映部分(変動部分)から構成されるのがポピュラーです。最近では、「業績連動型賞与」も一般化されてきていますが、この賞与の業績連動性を求めるのが業績反映部分ということになります。この部分を強調して、社員のやる気やモチベーションを喚起させることを目的とした設計とすると、「インセンティブ・ボーナス」と呼ばれるものになります。

 基本給は、等級制度の等級ごとに一定の賃金秩序をもった水準で設計されるのが一般的です。それを、給与テーブルや賃金テーブルに整理して運用している企業が多数派でしょう。諸手当は、その支給の根拠を定義して世間水準などを参考に適正な水準に設計されます。一方、賞与については、業績反映部分にどのように社員の成果貢献や業績連動部分を組み込んでいくかが、制度設計上のポイントとなってきます。