こんなところから、等級制度は、以下のような3つの種類に分類することができるようになりました。
①職能資格制度
②役割等級制度
③職務等級制度

 簡単に説明を加えておくと、「職能資格制度」は、かつての日本企業でスタンダードだった等級制度で、「職能」=「職務遂行能力」をベースに置くものでした。しかし、能力の基準が「保有・潜在能力」であったこと、年功的運用になりがちなこと、総額人件費のマネジメントが難しかったことなどの理由で、1990年代以降の人事制度改革の流れの中で、徐々に見直しを余儀なくされてきた制度です。

 これに代わって導入普及が進んできたものに、「役割等級制度」があります。これは、等級の基軸を仕事に期待される役割=「期待役割」に置く制度です。役割遂行のために求められる能力=「発揮能力」(コンピテンシー)と、その結果として上げた「成果」(パフォーマンス)を2大評価要素と捉えたことで、職能資格制度から役割等級制度へ大きく制度転換する企業が増えています。

 「職務等級制度」は、社内の職務に求められる価値=「職務価値」を評価し、それを相対序列化して等級として体系化した制度です。これは、主として欧米企業で主流の制度で、職務価値で実際に賃金相場が決まっていない日本企業では、一般化されているとは言いがたいものです。

中小企業にありがちな状況

 制度の整備を検討している中小企業の状況を確認してみると、まず気がつくことは、人事制度を、等級・評価・報酬の3点セットで捉えている企業は決して多数派ではないということです。多くの場合、評価制度単体での見直しや、報酬制度だけを別個に検討しているケースが目につきます。

 企業によっては、等級制度そのものが存在しなかったり、○○等級社員といった等級呼称は使用しているものの、等級体系や等級フレームは存在していなかったりする企業もあります。等級制度が不在であるなら、当然のことながら、昇進・昇格の基準も明文化されておらず、「当社においてどんなキャリアパスが描けるのか、さっぱり分からない」と不満を漏らす社員がいる企業も少なからず存在しています。

 すでに触れたとおり、等級に定義された人材の要件に基づいて評価の基準が導かれ、その評価基準に照らして評価が実施され、給与や報酬に反映されるという流れが必須である以上、この3点セットでの検討は不可欠といえるでしょう。しかし実際には、バラバラに検討されているというのが実情なのです。

 制度の検討にあたっては、まずはこのあたりの是正から入ることになります。