吉田 寿
ビジネスコーチ(株) 常務取締役

 人事制度は、社員や会社にどんな効果があるでしょうか? 今回は、このテーマを考えてみたいと思います。

 人事制度の導入がもたらす効果については、ざっと図表のようにまとめることができます。

 以下、それぞれについて説明したいと思います。

社員が会社の方針を理解できるようになる

 まず、人事制度導入の効果として最初に挙げるべきは、社員が会社の方針を理解できるようになるということでしょう。人事制度が正しく設計・導入され運用されれば、この点は格段に理解されるようになります。ただ、これには前提条件が必要です。それは、評価制度が正しく機能されればということです。

 会社方針との関連でいえば、まず人事制度の中でも評価制度との関連が重要です。評価制度については、また別の機会に詳しく説明するつもりですが、評価体系は、一般的に大きく「能力評価」と「成果評価」の2つから成り立っています。このうち、「成果評価」は、目標管理制度とセットで導入されるケースがほとんどです。

 目標管理のエッセンスは、会社方針や上位目標が組織の上から下に向かって適切に展開されることです。これを「目標のブレークダウン」といったり、「目標の連鎖」と形容したりします。目標を立てる一社員の立場からすれば、この会社方針や今年度の重点課題などについて、自分の所属する部門や部署では何が重要かということを前提として、自分の目標設定を行うことになります。ここで、組織目標と個人目標とのつながりを理解し、自分の達成すべき目標が理解・認識されることになります。

 ここで注意しなければならないのは、この会社方針と自己の目標との関連性が担保されなければ、本当に意味のある目標は立てられないということです。いろいろな企業でよく見受けられるのはまさにこの点で、会社方針とは全く関係のない目標設定が平然となされているというケースが実に多いということです。

社員の採用・定着化に役立つ/社員が安心して働ける

 次に重要なポイントは、一定レベルの人事制度が整備されると、社員の採用や定着に役に立つということです。

 会社は、やはり人材がすべてです。自社の将来を担いうる優秀な人材を採用しようと考えれば、一定レベルの人事制度の整備は必須となります。人を採用しようと思っても、採用面談の際に、入社希望者から「御社の人事制度の仕組みを教えてください」と言われて、その会社の経営トップや採用担当が的確に答えられなければ、いい人材の採用などできるはずもありません。