公正性の視点とは

 さて、次に公正性の視点です。これは、人事制度の運用ルールを事前に定められた通りに適正に運用するということ。制度運用の際に公正性を担保するという視点です。

 この原則は、実はあまり遵守されていないケースが目立ちます。例えば、評価制度の実際の運用を事例に取り上げてみましょう。

 昨今の評価制度は、大きく「能力評価」と「成果評価」の2つから構成されるケースが多いと思います。能力評価は、「コンピテンシー評価」や「行動評価」とも表現され、「成果評価」は、「パフォーマンス評価」や「業績評価」とも呼ばれる場合があります。人事用語としてどんな言葉を採用するかは、その会社の考え方に依存しますから、この場合、用語表現が多少違っても、基本的に評価制度は、この2つから体系づけられているのがポピュラーです。

 このうち特に成果評価の場合には、基本的に「MBO」(目標管理制度)に基づく運用となります。目標管理の基本は、評価期間の期初において目標を設定し、期末においてその達成度を評価するというものです。

 期初には「目標設定面談」が設定され、一次評価者である直属の上司と被評価者である部下との間で、今期の目標についての確認がなされ、部下本人の当該期における目標がオーソライズされます。期中において部下は、設定した目標の進捗を自己管理し、目標達成に向けて尽力します。上司である一次評価者は、部下の目標達成の進捗をチェックし、適宜指導・アドバイス、あるいはコーチングを行います。

 期末まで、何のフォローもないと目標達成がおぼつかなくなる場合もあるため、期中において「中間レビュー面談」を実施し、半期を振り返ってみてその時点までの目標の進捗状況を上司・部下の間で確認し、順調に進んでいるかどうかチェックした上で、残りの期間の目標への取り組み方を検討します。目標の進捗状況があまりはかばかしくない場合には、そのリカバリー策を検討することになります。

 そして、期末を迎えれば、「評価面談」を実施し、上司・部下の間で、目標の達成状況をきちんと確認した上で、当初定めた評価基準に照らして一次評価が実施されます。

 こうした一連のルールに基づく評価実務を愚直に実施するということが、まさに公正性の確保につながるのです。