しかし、小規模組織のままであれば、そのような状態を放置できるかもしれませんが、企業が順調な成長を果たし、そこそこの規模や人員を抱える組織となった場合には、そうはいかなくなってきます。例えば、人員規模が50名から100名程度に増えてくると、もはや社長一人で社員全員の働きぶりを確認したり評価したりすることは難しくなってきます。200名規模ともなると、もう社員の顔と名前が一致しなくなってくるでしょう。企業が一定規模以上に成長してくると、社長の管理限界を超えてくるため、仕組みで回していく必要性が出てくるということです。ここに、自社の実情にマッチした人事制度の構築や整備の必要性が生じてきます。

 経営トップの立場からは、それまで一手に自分が握っていた社員に対する評価権を各部門運営者(評価者)に権限委譲し、部門マネジメントの一環として社員の頑張りに応え、評価実務を担いうるマネジメント人材の育成が求められてくるのです。

どこまで透明性を確保すべきか?

 それでは、人事制度は、どこまで透明性を確保すればよいのでしょうか? これに関していえば、基本はすべてオープンにするということです。つまり、人事制度の全体像や等級制度、評価制度、給与制度といった各制度の構成要素やそれら諸制度の詳細など、人事制度の中身について社内にオープンにします。評価基準の内容や評価結果の昇給、昇格、賞与といった処遇への反映ルール、年間を通じた制度の運用ルールなど、細かい内容も含めて透明性の高いものにしていくということです。

 もちろん、その前提として、各企業の人事制度に対する基本的なポリシーや考え方が出てくるものと思われます。また、制度の運用スキルの現状レベルからの判断も必要です。したがって、一気にオープンにするというのではなく、まずは自社で透明性を担保できる部分はどのあたりなのかを十分検討して、段階的に透明性を高めていくというアプローチはあるでしょう。これは、人事制度の導入を検討されるそれぞれの企業で、事前に十分な議論を要する事項といえます。