吉田 寿
ビジネスコーチ(株) 常務取締役

 人事制度に求められる原理・原則とは何でしょうか? どんな視点が重視されてくるのでしょうか? 今回は、このテーマを取り上げてみたいと思います。

 人事制度の重要性を語る場合に、よく引き合いに出させていただく視点があります。それは、図表にも掲げたように次の3つです。

  1. ①透明性(Transparency)の視点
  2. ②公正性(Fairness)の視点
  3. ③納得性(Convincing)の視点

 以下、それぞれの視点について説明したいと思います。

透明性の視点とは

 まず、「透明性の視点」です。これは、一言でいえば、人事制度の基準を明確化し運用ルールをオープンにするということ。評価基準や制度の運用のルールをできるだけ透明性の高いものにするという視点です。

 人事制度に関していえば、これまで人事特権として人事部門が秘匿していたり、制度自体は存在していても、社員には公開していなかったりする企業も多かったのではないでしょうか? 特に中小企業においては、人事部門そのものが社内に存在していないために、制度自体が未整備の場合や、制度はあっても評価基準が曖昧なために、透明性を担保しようと考えても限界がありました。

 そんなところから、人事制度は「ブラックボックス」と呼ばれたり、それを司る人事部門は「奥の院」と形容されたりしました。また、中小企業の場合には、経営トップの一存で社員の評価が決められるケースも多く、人事制度そのものに必要性を感じていないところも多かったはずです。