うつ病、ハラスメント、労働組合、等

 これら諸々の課題については、次の通りです。

【建て前・現象】
・業務が繁忙で、社員が過労働になるのは仕方がない。残業代はきちんと支払っているのだからそれでいいだろう。
・様々な情報を利用し、理論武装をして訴える社員が増えてきた。
・社外労働組合に駆け込まれてしまった。

 これについても、様々な真因が考えられます。

【本当の理由】
・管理職への啓蒙や教育を怠っている。
・過重労働対策が不十分。
・ホットラインなど社員の相談窓口を設けていない。
・法定労務管理や労務関連規則・規程が不十分。

 少なくとも労務コンプライアンス的な観点での法令は遵守し、社内制度の充実と管理職教育の徹底を図るべきでしょう。また、昨今ではワークライフバランスの観点からも、長時間労働対策が求められていますから、過重労働の原因を究明して有効な対策を講じることは、経営上必須といえます。

企業人事のパラダイムシフトとその対応策

 ここまで見てきたように、企業を取り巻く環境も時代とともに変革を余儀なくされてきています。最近の変化は、例えば「VUCA」(ブーカ)という言葉に代表されるようになりました。ここでいう「VUCA」とは、以下の頭文字をとった言葉です。

  1. ①Volatility(変動性)
  2. ②Uncertainty(不確実性)
  3. ③Complexity(複雑性)
  4. ④Ambiguity(曖昧性)

 つまり、近年のビジネス環境は、不安定で変化が激しく、先の見通しも立たないほど不確実性が高く、複雑で曖昧模糊とした状況にあるということです。

 このような世界の到来は、企業の事業構造に大きな変化をもたらすだけでなく、企業人事や一人ひとりの働き方にまで影響を及ぼすことになってきます。加えて、最近の人事のテーマは「ダイバーシティ」に代表されるように、働く人たちの仕事観や人生観、生活のあり方にも多様性をもたらすようになりました。ネット社会の進展やそれに伴うデジタル・ソサエティの発展が、人事制度に与える影響も無視することはできません。

 労働法務の世界でも、労働契約法や労働者派遣法の改正などに伴い複雑化の様相を呈し、企業におけるコンプライアンスは、ますます強化される方向にあります。ストレスチェック制度の義務化も、近年増大してきているメンタル労災への対処の1つと位置づけられています。

 アベノミクスのもと、景気対策としての賃上げは叫ばれてはいるものの、中小企業にとっては、人件費コストは頭の痛いテーマです。適正人件費マネジメントをきちんと実践しつつ、身の丈に合った賃上げを検討していく必要性があるでしょう。