トップページシンポジウムシオノギプレスセミナー開催 身体や精神の不調、ひとくくりにはできない症状
〜「うつ傾向のある人の意識と行動に関するアンケート調査」結果発表〜
Good Doctor NET AGING Web 宇治おうばく病院 うつ病~こころとからだ 話してみよう うつの痛み うつ病・認知症コンソーシアム 冊子バナー 特別協賛:シオノギ製薬 ココ朗くん

シオノギプレスセミナー開催 身体や精神の不調、ひとくくりにはできない症状
〜「うつ傾向のある人の意識と行動に関するアンケート調査」結果発表〜

2017.06.07   取材:21世紀医療フォーラム取材班 安井透 文責:同 事務局長 阪田英也

塩野義製薬は5月17日(土)、東京千代田区のJPタワー ホール&カンファレンスにて、「身体や精神の不調、ひとくくりにはできない症状」と題するプレスセミナーを開催した。同セミナーは、研究成果発表とトークセッションの2本立てで行われ、研究成果については藤田保健衛生大学医学部精神神経科学教授の内藤宏氏が、「うつ傾向のある人の意識と行動に関するアンケート調査」を発表。その後のトークセッションでは、内藤氏と宮崎医院院長の宮崎仁氏がMUS(Medically Unexplained Symptoms)と身体科が精神科のテクニックを導入し、精神科的な対応をする「PIPC」という教育プログラムについて解説した。

うつ傾向のある人の約35%が
6つ以上の身体・精神的不調を抱える

「うつ傾向のある人の意識と行動に関するアンケート調査」(調査主体:塩野義製薬)は2016年12月にインターネットで行われ、事前調査は20~69歳までの男女1万9975人、このうち下記3つの条件に合致した2028人を本調査の対象とした。

・二質問法でうつ傾向あり
・現在、医療機関でうつ病の診断をされていない
・最近、心療内科、あるいは精神科を受診したことがない

○事前調査で使用した二質問法

以下の質問にお答えください(当てはまる方に〇をつけてください)

1.最近1ヵ月間、気分が沈んだり、憂うつな気持ちになることがよくあった
A はい  B いいえ

2.最近1ヵ月間、物事に対して興味がわかない、あるいは心から楽しめないことがよくあった
A はい  B いいえ

二質問法で、1つでも「はい」と回答した者は39.0%、そのうち91.9%が、うつ未診断者であった。また、うつ傾向のある人(二質問法でいずれかに「はい」と答えた39%の人)を対象に身体的不調について聞いたところ、「睡眠障害」や「食欲不振または過食」など、うつ病に良く見られる症状以外にも、「疲労倦怠感」「肩の痛み」「頭痛・頭重感」といった回答が目立った。

●主な身体的不調の実態
身体的不調 うつ傾向のある人(%)
n=7796
うつ傾向のない人(%)
n=12179
疲労倦怠感 76.5(2.5倍) 31.2
肩の痛み 73.7(1.4倍) 53.1
睡眠障害 70.8(2.4倍) 29.6
頭痛・頭重感 70.3(1.6倍) 44
腰の痛み 69.5(1.4倍) 51.1
首の痛み 66.6(1.5倍) 44.7
食欲不振または過食 65.9(2.8倍) 23.9
腹痛 53(1.9倍) 28.3

同様に、主な精神的不調について聞いたところ、「体のあちこちが重く感じる」「不安でいてもたってもいられなくなる」「話や本の内容が入ってこない」という回答が高くなった。うつ傾向のある人の34.7%が6つ以上の身体・精神的不調を抱えており、保有疾患を見ると不眠症が82.1%、慢性疼痛が69.4%、過敏性腸症候群が74.5%となっていた。

●主な精神的不調の実態
精神的不調 うつ傾向のある人(%)
n=7796
うつ傾向のない人(%)
n=12179
物事を悪い方向に考える 74.1(3.5倍) 21
いつもなら楽しいことが気が進まない、やる気にならない 73.9(4.2倍) 17.4
気分が重苦しく、泣きたくなる 63.7(5.7倍) 11.1
体のあちこちが重く感じる 63.1(3.4倍) 18.5
不安でいてもたってもいられない 62(5.1倍) 12.1
話しや本の内容が入ってこない 59.1(3.9倍) 15.2
自分のことなんかどうでもいい、消えてなくなりたい、死にたいと思うことがある 53.3(8.0倍) 6.7

医師と患者の信頼関係が構築できていれば
相談しやすく、不調を重症と認識できる

続いて、内藤氏は医師と患者の関係について、調査結果を発表した。うつ傾向があると判定された調査の対象者2028人のうち、「身近な内科医がいる」と回答したのは53.6%で、そのうち約3割が不調について相談したいという意向を持っていたものの、実際に相談できた人は約1割だった。

相談したいと回答した人にその理由を聞いたところ、「本当は診てもらいたいが、たいした病気ではない、恥ずかしい、病気と認めたくない」などの理由で行動に移すことができなかった。また、「うつ病に対してネガティブイメージが強い」という意見も出された。

さらに、相談できたと回答した人に理由を聞くと、「医師との関係が良好」「相談できる関係にある」「医師が不調に気づいてくれる」という意見が多かった。相談できた人たちは、不調を重症と思っているケースが多く、実際に慢性疾患の保有率も高い。加えて、内科医に通うのは高齢者層が多いという特性があった。

一方、相談したくないと回答した人に理由を聞いたところ、「医師との関係性が良好ではない、自分を大切に扱っているとは思わない」など、信頼関係が確立できていないことがわかった。また、「医師に相談しても不調改善の効果が期待できないので相談したくない」という意見もあった。

身近な内科医はいないと回答した人は重症意識が低く、医師だけでなく家族や周囲との関係性も良好ではない傾向があり、年齢的には若年層が多かった。