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一つの組織内で精神科医と産業医が連携 ワンストップの包括的な医療支援を 第2回(2回連載)

2015.08.11   六番町メンタルクリニック所長 野村総一郎 氏

野村総一郎 氏
六番町メンタルクリニック所長
野村総一郎 氏
1949年生まれ。1967年 慶應義塾大学医学部卒業。1975年 立川共済病院神経科。1977年 藤田保健衛生大学医学部精神医学教室講師。1985年テキサス大学ヒューストン校神経生物学教室留学。1986年メイヨ医科大学精神医学教室留学。1988年藤田保健衛生大学医学部精神医学教室助教授。1991年防衛医科大学校神経学教室教授。2015年防衛医科大学校病院長。2013年より現職
○六番町メンタルクリニック

 一般社団法人日本うつ病センター(JDC)は、薬物療法や心理療法など、患者に適した包括的な診療の提供を目指し、2015年5月、東京都千代田区において、六番町メンタルクリニックを開院した。同クリニックを中核として、心理療法を行うJDC精神療法センター、精神科産業医による企業向けコンサルテーションを手がけるJDC産業メンタルヘルスセンターを併設し、有機的な連携を図る。
 連載2回の第2回は、六番町クリニックの果たす役割、これからの目標などについて、同クリニック所長の野村総一郎氏にお話を伺った。
(構成:21世紀医療フォーラム取材班 但本結子 文責:21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)

フィロソフィーの崩壊によって
日本人のメンタリティが弱くなった

就業者のうつ病が増えていると言われ、企業にとって大きな不安要因になっています。

野村 うつ病が増えているのは、いくつかの要因があります。一つはいわゆる「新型うつ病」や「現代型うつ病」と言われる若い世代に見られるうつ病の増加です。よく言われるように、打たれ弱く、不安感が強い25、6歳ぐらいの若者は「ゆとり世代」や「さとり世代」と呼ばれ、特に「現代型うつ病」の病相が見られますが、そこにはジェネレーションの問題が関係しているように思います。子どもの負担を減らし、競争を避けて運動会でも順位をつけない。それが社会でも通用すればいいですが、むしろ社会状況は一段と厳しくなっている。そこで、ストレスが増える。そうした世代の問題は、やはり打たれ弱くなったことと関係があると考えられます。

それから、この話をすると復古主義者のように思われますが、東アジア全体に共通した儒教の論理や孔子の哲学、額に汗して働け、マナーやルールを守って頑張れという考えが今は薄くなりました。我々は団塊の世代、学生運動の世代ですが、もともと学生運動は儒教からの脱却、体制への反感がスタートでした。その学生運動を経て、「しらけ世代」へ、そして学校が荒れ、それに対する国の対策が、ゆとり世代やさとり世代を生み出したように思います。それを一言で現すと、善悪は別として、現代は儒教の考え方が潰れたと言えます。その後、日本は異なる哲学を提供できませんでした。一つの思想だけが出てくると危ないですが、人を支える哲学がなければならなかった。それがなくなったことで、メンタリティが弱くなったという面があると思います。

精神的な支柱、立脚する場所が消えてしまったということですね。

野村 場所であり、フィロソフィーです。そのあたりが関係しているように思いますが、もちろん国を挙げて哲学を作るというのも、また問題があると思います。

では、企業側も変化したと思われますか。

野村 もちろんそうです。企業側と就業側、それぞれに要因があります。企業には不況や成果主義、コントローラービリティ、自由度がなくなってきたことも理由の一つだと思います。