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ストレスチェック制度を考える(11)

うつ病で苦しむ人たちのために領域や枠を超え、 企業、産業医、地域の精神科医、内科医の連携を (2/2)

2016.08.03   東洋英和女学院大学教授 横浜尾上クリニック院長 山田和夫氏

地域の内科医と精神科医
産業医と精神科医
新たな連携の形を模索

横浜尾上町クリニックでは、内科開業医との連携が非常にうまくいっていると聞きます。

山田 これはモデルケースになり得るので、内科医院と精神科医院の連携についてご紹介したいと思います。当クリニックが位置する横浜市中区は県庁や市庁、裁判所、警察署のほか、金融機関や企業の本店などが集積する官庁街、ビジネス街で、人が多く集まるだけにメンタルクリニックや内科医院も多数あります。この3年ほど近隣の内科医への啓発を行った結果、身体症状を訴えて内科医院に来た患者さんの中で、うつ病や不安障害の疑いがある場合は精神安定剤を処方して終わりにせず、当クリニックにつないでくれるケースが増えてきました。

つなぎ方として非常に良いと思うのは、その内科医にかかりながらうちにも来院してくれることです。私たちは紹介で来た患者さんに対して、「2つのクリニックとも、ホームドクターだと思ってください」と伝えていますし、一方の患者さんも、「精神科に丸投げされた」「精神科の対象だとされて内科の先生に切られた」といった思いから不安になったり、複雑な感情を持って当クリニックに来ることがなくなり、安心して治療を受けることができます。同時に、長い目で考えると医療経済的にもマイナスではないと思います。

今後は、産業医と精神科医の連携も求められます。そのとき重要なことは何でしょうか。

山田 ストレスチェックに関わる産業保健チーム、企業のトップ、あるいは産業医に限定した啓発セミナー等は必要です。特に、うつ病治療はプライマリーケア医との連携が非常に重要で、ストレスチェック制度の義務化以降、互いに連携が必要だという認識を持っています。

横浜市では、神奈川県精神神経科診療所協会と日本臨床内科医会が連携し、最近新しく出てきた睡眠薬の処方、うつ病治療についての勉強会や情報交換などを行なっています。また、大阪や福岡などの都市部でもその意識が高まり、プライマリーケア医と心療内科、精神科の合同の勉強会などで、うつ病や不安症の診断法、薬の処方について、私は講師を務めることが増えました。

ストレスチェック制度を契機に、企業、産業医、地域の精神科医、内科医がネットワークを構築し、連携を取り合う機運が高まっています。

薬の中には、糖尿病性の末梢神経性疼痛や線維筋痛症など、内科や整形外科がプライマリーで困っている疾患にも適用できるものがあり、彼らにも薬の効能や使用法を知って欲しいと思います。なぜなら、うつ病で苦しんでいる患者さんたちの多くは、頭痛や腰痛などの痛みを併発するため、内科や整形外科にも通院しています(図2)。薬を通して、互いに患者さんの症状に気づくことができれば、連携やネットワークはさらに広がっていくはずです

図2 (山田 和夫氏による)

第2回終わり(連載2回)