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ストレスチェック制度を考える(8)

全員面談や職場訪問で社員の健康に目を配る メンタル不調を重症化させず、早期復職へ (2/2)

2016.07.06   三井住友海上火災保険人事部 駿河台健康管理センター産業看護職 永田育世 氏

産業医、精神科医と連携し
メンタル不調を重症化させない

永田育世 氏

嘱託の精神科医との連携はどのように行っていますか。

永田 例えば、主治医から休まなければいけないと言われていても、本人が休みたくない場合、私たちもアセスメントを行い、こうした方が良いのではないかという提案をします。ただし、どうしても出てくるグレーゾーンの判断については、本人の意向は当然大切にしつつ主治医の意見も反映しながら、会社の事情を理解している嘱託の精神科医にも相談し、ベストな方法を導き出すようにしています。

一方で主治医に対しては、数カ月経ってもなかなか治らない場合、産業医から病状照会状を行い、この薬でいいのか、治療はうまくいっているのか、今後の見通しはどれくらいかなどを確認します。

重要なのは、長期化させないことです。今はどこの企業でも同じ状況だと思いますが、働く人に求められるレベルは年々上がり、パソコンのソフトが1年ごとに更新されたり、新しい技術が導入されるなど、以前より遥かに速いスピードで職場環境が変化しています。そのスピードに対応するためには、1年、2年と休職してしまうとさらに復職のハードルが高くなり、戻ることが難しくなります。メンタル不調を重症化させず、早期に復職してもらうことが私たちの目標です。

リスク対象者に積極的に介入
いかに産業医へつなぐかがポイント

休職せずに仕事を続ける人への対応について、もう少し詳しくお聞かせください。

永田 健康管理センターでは病気の悪化リスクが高い人をリストアップし、私たちが電話やメールで日々の状況を伺います。また、職場訪問の際には体調や食事、睡眠の指導を行うなど、定期的なお声がけも行っています。例えば、長時間働いている人は睡眠不足になりがちなので、その状況は変えられないとしても、より質の良い睡眠の取り方を指導することは大切です。薬をのまなくても、生活指導レベルで改善できるものであれば1度試してみて、それでも改善できない場合は医療機関への受診を勧めています。

メンタル不調で休職しない人は、本人も周囲も対応が難しいですね。

永田 中間管理職や責任の重い仕事に携わっている人は、自分が休んでしまうと部下や人員の補充で迷惑をかけてしまうと思いがちで、「主治医からうつ状態と診断されたが、会社には内緒にしておいて」「主治医に休むように言われているけど、休みません」といったケースが過去にはあったようです。明らかに介入が必要だと思われる人でも、本人が産業医の面談を拒否することもあります。

そこですね、大変なところは。

永田 いかに産業医につなぐかがポイントです。私たちは最初に相談を受けますが、休職せずに勤務が継続できる状態なのかどうかのアセスメントを行い、産業医には医療機関につなぐべきか判断を仰ぎます。

メンタル不調に対する本人や周囲の反応は変わってきていますか。

永田 「まさか自分がなるなんて‥」という本人の声に対して、「しょうがないよ、これだけの状況だったから」という周囲の反応は多いように思います。うつ病が身近になっても困りますが、気軽に受診できるようになったメリットもあれば、産業医に相談することさえ敷居が高いと捉える従来のメランコリー親和型が取り残されているデメリットもあると感じています。

復職の流れについて教えてください。

永田 主治医から復職可能の診断が出たら、産業医と本人が1対1で面談を行い、ある程度、当社が求めるレベルに戻っているかを見るために、一定の負荷をかけて状況を確認します。その負荷に耐えられなかったり、自信を持って戻れるレベルでなければ休職を続けることになります。

休職中のフォローもされるのですか。

永田 月1回は状況を知らせてもらうようお願いしています。休職中にどんな過ごし方をしているかは重要である上、休んでいても会社とつながっているという意味でも、私たちが電話やメールで連絡することは大切です。

第1回終わり(連載2回)