Good Doctor NET AGING Web 宇治おうばく病院 うつ病~こころとからだ 話してみよう うつの痛み うつ病・認知症コンソーシアム 冊子バナー 特別協賛:シオノギ製薬 ココ朗くん

ストレスチェック制度を考える(7)

会社と関係機関をつなぐコーディネーターを配置し “顔の見える”関係性づくりを (3/3)

2016.06.29   メディカルケア虎ノ門 院長 五十嵐良雄 氏

コーディネーターを配置して
会社と関連機関の関係性づくりを促進

精神科医と産業医、プリマリーケア医の連携が急がれますが、五十嵐先生が言われたように、まだまだ時間はかかりそうです。連携をスムーズにするために、他の方法はありますか。

五十嵐 実際の連携では診断書や意見書といった紙を使っての連携がほとんどで、簡単なケースでは診察や治療、投薬の状況を紙で紹介すればいいと思います。しかし、非常に難しい例、例えば会社を訴えているような事例性が高い人の場合、弁護士に任せるだけでは済まないことがあります。

また、発達障害のような場合は、業務上での指示の出し方が重要になってきますが、会社は文書だけでは理解できません。そうなると、人間がクリニックや会社を行き来して、そこで得た情報を伝えることになります。

メディカルケア虎ノ門は平成25年から2年間にわたり、厚生労働省の「医療機関と連携した精神障害者の就労支援モデル事業」を受託しました。その中で、2年間1人分のコーディネーターの予算をもらうことができました。問題のあるケースでは、コーディネーターが本人と一緒に会社での会議に参加したり、説明をしたりしたのですが、やはりそうした人がいると会社の理解度は全く違います。

コーディネーターの役割、スキルなどについて、もう少し詳しくお聞かせください。

五十嵐 コーディネーターは精神保健福祉士です。デイケアの職員として勤務しているスタッフですが、コーディネーターとして専任します。具体的には、会社で1時間くらい会議をして、こちらに帰ってきて報告や確認をする。この繰り返しを復職前に10回ほど行いました。そうすると、会社でも、この人はこんな人で、こんなふうに働かせるといいとわかってくる。どう働かせて良いかわからないときは、障害者職業センターからカウンセラーを呼び、ジョブコーチ(職場適応援助者)による支援を受ける場合もあります。

コーディネーター求められる6つのポイントについて、『PSYCHIATRY 精神科 2016.2月 Vol28 No.2』にまとめましたので、ここにご紹介します。

 ■コーディネーターに求められるポイント

1. コーディネーターとして、自らの立場の独自性を確保すること
2. 当事者を中心とした全体状況の把握を心がけること
3. 当事者と職場の共通な利益を抽出すること
4. 業務、人間関係などの職場の状況を把握して当事者の特長を活かし、
     伸ばすように支援すること
5. 職場の窓口となる支援者を同定し、その機能を発揮できるように支援すること
6. 継続的な支援を見据えた関与をしていくこと

すでに、いくつかの労災病院ではこうしたコーディネーター制度を試行的に取り入れています。例えば脳梗塞を起こして片麻痺があり、職場に戻るときの復職支援。あるいは、がんを抱えながら働く人の両立支援など、課題ごとに配置されます。このコーディネーターの存在を社会でもっと取り上げ、制度として構築して欲しいと思います。各施設にコーディネーターを置くと点数がつくようになれば、コーディネーターを配置する医療機関も出てくるはずです。

企業との契約の中で、修練した精神保険福祉士がコーディネーターとして入り復職を支援することができれば、ストレスチェック制度は本当に社員のことを考えた制度になり得ますね。

五十嵐 医療機関が特定の企業と契約を結ぶ際の問題は、医療機関側にあるかもしれませんが、ヒューマンリソースをどう使うかという課題に対しては、すでにこうした人材が活動していることも知って欲しいと思います。

第2回終わり(連載2回)