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ストレスチェック制度を考える(6)

重要なのは、個人のチェックより組織分析 そこで何が起きているのかを知り、改善に導くこと (2/2)

2016.06.22   メディカルケア虎ノ門 院長 五十嵐良雄 氏

干渉が“普通に”行われる制度
曖昧な表記に課題も

ストレスチェックを受ける側にとって、必要なことは何でしょうか。

五十嵐 まず、高ストレス者と認められた人が面談を申し出やすい仕組みが必要です。個人の情報が会社に知られることはないものの、その懸念に配慮して外部の医師が面談しても良いとなりましたが、会社に黙って受診すれば有料です。実際、日本精神科産業医協会では面談料として3万、4万などと言っているほどです。確かに面談に必要な時間と文書作成、およびその責任の重さからみて、そのくらいは請求しても当然でしょう。高ストレスの労働者にとって費用がかかることは問題ですが、こうした欠陥点をどうやって改善していくのか。それすらも見えていません。

診療報酬ではできないところを契約で、つまり高ストレス者が面談を申し込んだときに、精神科産業医がきちんと仕事として受けられる体制が必要ですね。

五十嵐 日本精神科産業医協会でも同様の主張をしていますが、同協会に精神科産業医として登録しているのは200人程で、絶対的に数が足りないことと、組織の活動がまだまだ知られていないことも課題の一つです。

このままでは高ストレス者が申し出ないことが予想されますね。

五十嵐 自己責任といわれる反面、企業の責任が問われる可能性もあります。誰が高ストレス者であるかをストレスチェックの責任者である産業医は知っています。例えば高ストレス者が後に自殺した場合、知っていたのに何もしなかったのかと、産業医が責任を問われるかどうかは私たちの間でも大いに論議になりました。

これについて厚生労働省は、責任は問わないものの「あなたは高ストレス者だから面談を受けませんか」「最近の生活はどうですか」といった干渉をしなさいと促しています。この干渉は、産業医だけでなく、保健師が行っても良いことになっています。つまり、干渉を行うことが普通という制度で、そこもまた非常に複雑です。

干渉や介入は、強制ではありませんね。

五十嵐 この仕組みの中で、必須のプロセスではありません。強制してしまうと干渉しなかったときに法的責任を問われる可能性があるため、隅の方に小さく書いてあるだけです。

また、干渉するといっても、保健師がいない会社も多数あります。だから血液を採ったり、血圧を測ったりする健康診断を年1回行います。そのときに産業医が高ストレス者と共に精神科を受診してもいいかもしれませんが、それをやりなさいとは書いてない。産業医の中には、恐らくその想定で受診を干渉しなさい、介入しなさいと言っているのだろうと理解している人もいます。

冒頭で五十嵐先生が言われたように、ストレスチェック制度を受ける側も強制されていません。

五十嵐 全員に紙か電子情報でストレスチェックリストが配られますが、答えたくない人は答えなくても良いことになっています。いずれ回答率の問題も出てくるでしょうね。それから、出したい人は必ず出すので、困った事例も出てくるのではないかと懸念していたところ、早くも困った事例が1例出てきました。

第1回終わり(第2回に続く)