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ストレスチェック制度を考える(5)

精神医学に精通した産業医を 精神科医がバックアップする仕組みの構築を (3/3)

2016.05.11   社団医療法人北九州病院・北九州古賀病院院長 産業医科大学名誉教授 中村 純 氏

一次予防、二次予防を視野に
産業医と精神科医の連携を

ここまで中村先生のお話を伺ってきて、いくつもの課題があることがわかりました。あらためて課題の整理と、その対策について、お聞かせください。

中村 制度ができたからには、やはりうまく運用しなければなりません。運用する中で改善すべきところは出てくるでしょうし、私たちがそれを指摘すべきだと考えています。すでにストレスチェック制度の導入直前に日本精神神経学会の「精神保健に関する委員会」から、厚労省労働衛生課長に対して、ストレスチェック制度の課題について見解が出されました。

職場におけるストレスチェック制度実施に関する見解(日本精神神経学会)

その課題と、私の考える問題点はほぼ同じで、まず労働者が正直に回答できるような体制ができているのか。高リスクと評価された労働者が医師の面談を受けやすい枠組みになっているのか。個人情報は本当に担保されるのか。高リスク者が面接を希望しない場合はどうするのか。それから産業医の機能、スキル、キャパシティが本当にあるかどうか。

ストレスチェック制度における課題と問題点(クリックすると拡大)

そして、集団分析の結果がうまく活用されるのか。組織内の上司と部下との関係が悪化しないのか。例えば、「あなたのチームはものすごくストレスが高いですよ。どうするんですか」と上司から言われた場合、対応できるのでしょうか。また、外部の面接指導医(精神科医)が適切な指導を行えるのか。これは前述したEAPの問題でも述べましたね。

では、必要な対策を教えてください。

中村 企業においては精神医学に精通した産業医であること、同時にその産業医をバックアップする精神科医がいることです。産業医との面談を申し出ない高ストレス者に対して、相談ができる場を確保すること。それから産業医の負担増の調査も必要です。そして職場環境改善の好事例を共有化することが大切です。

ストレスチェック制度の課題をクリアするために必要な対策
(クリックすると拡大)

但し、間違えてはいけないのは、高ストレス者だからといって一概にうつ病ではないということです。今回のストレスチェック制度は、メンタルヘルス不調者の発症予防と職場環境の改善が目的だとしていますが、一次予防(発症予防)なのか、二次予防(早期発見・治療)なのか。私はその両方を含むのではないかと思っています。だからこそ産業医と精神科医が連携することが重要です。

第3回終わり(3回連載)