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トップページ医療コラム矢部武の「孤立死」から「自立死」へ高齢者の「低栄養」と熱中症の予防対策

矢部武の「孤立死」から「自立死」へ Vol.73

高齢者の「低栄養」と熱中症の予防対策

2017.08.29 ジャーナリスト 矢部 武

東京都大田区の「おおた高齢者見守りネットワーク」(通称:みま~も)は2008年から、地域の医療・高齢者福祉の専門職たちが民間企業や行政機関と連携して、「いくつになっても安心して暮らし続けるまちづくり」を目指し、活動している。

「みま~も」では毎月第3土曜日に高齢者の健康、生きがい、医療介護、防災、まちづくりなど様々なテーマで「地域づくりセミナー」を開催し、毎回100名を超える高齢者が参加している。私は時々取材させてもらっているが、7月の「夏に負けない食事の工夫」と題したセミナーは、健康長寿に役立つ情報が満載だったので、その内容を紹介してみたい。

低栄養になりやすい食事パターン

年をとると食が細くなるが、特に夏場の暑い時期は食欲が落ちて作る気力もなくなり、簡単な食事ですませがちになる。しかし、このような食事を続けていると、高齢者の命の危険にも関わると言われる「低栄養」状態に陥りかねない。

セミナーではまず、ベネッセスタイルケア・食事サービス企画部の管理栄養士、菊地泰葉さんが「バランスの良い食事」を続けることの大切さについて話した。例えば、毎日の食事を作るのも考えるのも面倒くさいと思っている人は、朝はコーヒーとトーストだけ、昼も面倒だからうどんだけ。夜もご飯・みそ汁・焼き魚くらいで簡単にすませてしまいがちだ。その上、ロールケーキやメロンパン、チョコレートなどの間食が多くなってしまったりする。そうすると、カロリー(糖質・脂質)が多く、タンパク質が少ないバランスの悪い食事になってしまう。

しかし、このような食事はちょっとした工夫で全く違ったものになるという。例えば、朝はトーストにスライスチーズをのせて、牛乳を1杯飲んだり、昼は卵を1つ入れて月見うどんにしてみる。夜は野菜の煮物やおひたしを加え、間食のメロンパンやチョコレートをやめてみる。そうすれば、1日に必要とされるカロリーとタンパク質をバランスよく摂れる。

それから菊地さんは、糖質・脂質、タンパク質、ビタミン・ミネラルなど、各栄養素の働きについてわかりやすく説明した。

タンパク質は筋肉や骨、血液など身体をつくり、維持するのに大切な役割を果たす。糖質・脂質はガソリンのようなもので、身体を動かすのに欠かせない。そして、タンパク質や糖質・脂質を代謝するためにビタミンB群が必要となる。具体的には、うなぎ・豚肉・玄米・大豆などに含まれるビタミンB1は糖質の代謝に、レバー・うなぎ・牛乳・ヨーグルト・卵などに含まれるビタミンB2は脂質に、レバー・まぐろ・鮭・サバなどに含まれるビタミンB6はタンパク質の代謝に必要とされている。

つまり、ビタミンB群が不足すると、脂質・糖質やタンパク質の代謝がうまく進まなくなり、タンパク質が不足すると、基礎代謝(生命を維持するために必要なエネルギー)も減って、運動しても脂質が燃焼しにくくなってしまう。だから、全ての栄養をバランス良く摂ることが大切なのである。

「バランスの良い食事」の大切さについて話す菊地泰葉さん
「バランスの良い食事」の大切さについて話す菊地泰葉さん

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コラムニストプロフィール

矢部武 ジャーナリスト

1954年、埼玉県生まれ。米アームストロング大学大学院修士課程修了。1974年に渡米。「ロサンゼルスタイムス」紙 東京支局記者などを経て、フリーランスに。現在は、日米を行き来しながら、高齢者、雇用、健康、社会問題などをテーマに、取材・執筆活動を続けている。著書に『60歳からの生き方再設計』、『ひとりで死んでも孤独じゃない~「自立死」先進国アメリカ』、『携帯電磁波の人体影響』、『日本より幸せなアメリカの下流老人』など多数。